Administrator Guide
元の FluidFS クラスタの障害発生原因である問題を解決したら、元の設定に手動でフェールバックできます。この元の設定では、ク
ライアントはソース NAS ボリューム上のデータにアクセスし、ソース NAS ボリュームはターゲット NAS ボリュームに複製されま
す。ソース NAS ボリュームへのフェールバックは、時間帯や帯域幅に応じて完了までにかなりの時間を要する場合があります。
災害復旧にレプリケーションを使用する場合は、次の点を考慮する必要があります。
• 元のソース NAS ボリュームがもう使用できない場合は、リカバリ NAS ボリュームを設定して、元のソース FluidFS クラスタ内の
別の NAS ボリュームに複製できます。ただし、元のソース NAS ボリュームを使用できる場合は、そのボリュームにフェールバ
ックすることをお勧めします。通常、元のソース NAS ボリュームへのフェールバックに要する時間は、新しい NAS ボリューム
にフェールバックするよりも短くて済みます。FluidFS クラスタ間に共通のスナップショットがある場合は、そのスナップショ
ットの作成以降に変更されたデータを同期することのみが必要になります。共通のスナップショットがない場合、あるいは新し
い NAS ボリュームに複製する場合は、すべてのデータを同期する必要があります。
• 1 つの FluidFS クラスタに 2 組の SMB ホーム共有を含めることはできません。クラスタ A とクラスタ B の両方に、さまざまな
サイトまたはユーザーベースに関して、SMB ホーム共有が存在する場合について考えてみます。クラスタ A とクラスタ B は、互
いに相手の SMB ホーム共有が格納されている NAS ボリュームのレプリケーション先として機能します。管理者が SMB ホーム
共有を格納しているクラスタ A の NAS ボリュームをクラスタ B にフェールオーバーさせようとすると、クラスタ B は SMB ホー
ム共有がすでに定義されているため、その操作を拒否します。
単一 NAS ボリュームのフェールオーバーに関する DNS 設定の管理
単一 NAS ボリュームのフェールオーバーでは、フェールオーバーしている NAS ボリュームのクライアントが、フェールオーバーして
いない他の NAS ボリュームのクライアントを妨害することなく、正しく移行できるように環境を設定することが重要です。
NAS ボリュームが 1 つの FluidFS クラスタから別の FluidFS クラスタにフェールオーバーすると、アクセスに使用される IP アドレス
がクラスタ A の IP アドレスからクラスタ B の IP アドレスに変わります。DNS を使用するとこの変更を容易にすることができま
す。また、各 NAS ボリュームと相互に関係するように DNS エントリを設定し、フェールオーバーの際にその単一 NAS ボリュームに
対応する DNS エントリに変更することをお勧めします。
たとえば、マーケティングとセールスがそれぞれ独自の NAS ボリュームを持ち、marketing_share と sales_share という名前の
SMB 共有が NAS ボリュームにあるとします。FluidFSmarketing という名前の DNS エントリがマーケティング用に作成され、セー
ルス用には別の DNS エントリが FluidFSsales という名前で作成されます。両方のボリュームはソースクラスタ A の同じクライア
ント VIP のセットをポイントしています。マーケティングは \\FluidFSmarketing\marketing を使用してマーケティングの NAS
ボリュームまたは SMB 共有にアクセスでき、セールスは \\FluidFSsales\sales を使用してセールスの NAS ボリュームまたは SMB
共有にアクセスできます。
最初は、両方の DNS エントリ FluidFSmarketing と FluidFS sales が同じクライアント VIP のセットをポイントします。この時点
で、marketing と sales の両方の SMB 共有に FluidFSmarketing または FluidFS sales のいずれかの DNS 名からアクセスできま
す。単一 NAS ボリューム(たとえば、Marketing)をフェールオーバーする際は、FluidFSmarketing の DNS エントリを変更してク
ラスタ B 上のクライアント VIP を解決します。
各 NAS ボリュームに対してどちらの DNS エントリが使用されたかを追跡するために、表を維持することをお勧めします。これは
フェールオーバーの実行とグループポリシーの設定の際に便利です。
災害復旧のセットアップと実行
本項では、災害復旧のセットアップと実行の高度な概要について説明します。これらの手順において、クラスタ A は、バックアッ
プを必要とするデータが格納されているソース FluidFS クラスタです。クラスタ B は、ターゲット FluidFS クラスタであり、ソース
クラスタ A からデータをバックアップします。
前提条件
前提条件
• クラスタ B は設置済みであるが、NAS ボリュームは設定されていない。
• クラスタ A とクラスタ B の FluidFS バージョンが同じである。
• クラスタ B のネットワーク設定(クライアント、SAN、内部など)がソースクラスタ A とは異なる。ただし、クラスタ A とク
ラスタ B はレプリケーション操作を実行するために相互に通信できなければなりません。
• クラスタ B には、クラスタ A のすべてのデータをレプリケーションできるだけの十分な容量がある。
フェ
ー
ズ
1 -
クラスタ
A
と
クラスタ
B
間にレプリケ
ー
ションパ
ー
トナ
ー
シップを構築
クラスタ A とクラスタ B 間にレプリケーションパートナーシップを設定します。
手順
1. クラスタ A から、クラスタ A とクラスタ B 間のレプリケーションパートナーシップを設定します。
2. クラスタ B のターゲットボリュームに常に、クラスタ A の最新のレプリケーションコピーが存在するよう、定期レプリケーショ
ンスケジュールを作成します。
レプリケーションポリシーは、次の例のように、ボリューム単位の 1 対 1 で一致する必要があります。
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