HP Workstation Maintenance and Service Guide
かります。ディスク集約型のワークロードでは、CPU のオーバーヘッドが約 2 倍になります (たとえ
ば、15%から 30%になります)。ほとんどのアプリケーションでは、プロセッサーに余裕を持たせる
ことで、このオーバーヘッドに容易に対処できます。しかし、ディスクと CPU のパフォーマンスが高
度にバランスされ、ほぼボトルネックレベルに近づいている一部のアプリケーションでは、この追加
の CPU オーバーヘッドが問題になることがあります。
ハードウェア RAID には、その大容量のハードウェアキャッシュと、操作を高度に並列化してスケ
ジューリングできるという利点があります。ただし、ソフトウェア RAID では、ディスクとディスク
コントローラーを柔軟に設定できます。また、ハードウェア RAID では、データ損失を避けるために、
障害になった RAID コントローラーを同じモデルのものと交換する必要がありますが、ソフトウェア
RAID ではそのような要件はありません。
一部のソフトウェア RAID 方式では、ミラーリング (1 台のディスクが障害になった場合に備えて複数
のディスクにデータをコピーすること) またはパリティデータ (エラー検出と障害発生時の限定的な
データの再構築) を通じてデータ保護を行います。HP ワークステーション上のすべてのソフトウェ
ア RAID ソリューションでは、障害が発生したドライブを交換できるように、システムがシャットダ
ウンされた後でのみ冗長性を回復できます。この交換は、わずかな作業で済みます。
パフォーマンスに関する留意事項
ディスク I/O 帯域幅は、一般にシステムバスの速度、ディスクコントローラー、およびディスク自体
によって制限されます。ソフトウェア構成による影響もありますが、これらのハードウェア制限のバ
ランスにより、システム内のすべてのボトルネックの場所が決まります。
いくつかの RAID レベルでは、スタンドアロンディスクのパフォーマンスと比べてパフォーマンスが
向上します。単一のディスクコントローラーによってディスクスループットが制限される場合は、別
のコントローラーが追加されるまで、RAID を使用してもパフォーマンスはほとんど改善されません。
逆に、ディスク自体のパフォーマンスが問題である場合は、調整を行ったソフトウェア RAID により、
スループットが劇的に向上する可能性があります。システムの他の部分に比べてディスクのパ
フォーマンスが低速であるほど、RAID パフォーマンスが向上します。これは、パフォーマンスパイプ
ラインの最も低速な部分が、RAID に移行することで直接対処されるためです。
ソフトウェア RAID の構成
ソフトウェア RAID を Red Hat Enterprise Linux (RHEL) または SUSE Linux Enterprise Desktop (SLED)
で構成する方法の詳細は、以下のサイトを参照してください。
●
Red Hat Enterprise Linux 6 — 『Storage Administration Guide』(
http://docs.redhat.com/docs/
en-US/Red_Hat_Enterprise_Linux/6/html/Storage_Administration_Guide/index.html (英語サイ
ト)) を参照してください。
●
Red Hat Enterprise Linux 5 — 『Deployment Guide』(
http://docs.redhat.com/docs/en-US/
Red_Hat_Enterprise_Linux/5/html/Deployment_Guide/ch-raid.html (英語サイト)) を参照してく
ださい。
●
SLED 11 — 『Deployment Guide』(
http://www.suse.com/documentation/sled11/
book_sle_deployment/?page=/documentation/sled11/book_sle_deployment/data/
book_sle_deployment.html (英語サイト)) を参照してください。
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付録 B RAID デバイスの構成