User Manual

Multichannel Monitoring Tutorial Booklet (M2TB) rev. 3.5.2
Masataka Nakahara : SONA Corporation
©2005 YAMAHA Corporation, ©2005 SONA Corporation
19/74
[Fig.9]6.1 ディスクリート
2-2. 符号化・圧縮方式
2-2-1.符号化方式
アナログ信号をデジタル信号へと符号化する場合,時間軸(周波数軸)のサンプリング密度に対応するサンプリン
グ周波数(fs[Hz])と,振幅(音の大きさ)のサンプリング密度に対応する量子化ビット数(Qb[bit]) 2 のパ
ラメーターが符号化の性能に大きく関わる.fs[Hz],Qb[bit]共にその値が大きいほど,デジタル符号化によるノイ
ズ発生を小さく抑えることが出来る.従って,一般的には,fs[Hz],Qb[bit]共にその値が大きいほど「高音質」と
解釈される.
2 チャンネルメディアでは,CD fs=44.1kHz,Qb=16bit,DAT fs=48kHz,Qb=16bit で符号化が行
れていた.これらのメディアではダイナミックレンジは約 96dB ある.マルチチャンネル・メディアでは,
DVD-Audio が,fs=96kHz,Qb=24bit 6ch の符号化性能として有しており,ダイナミックレンジは, 144dB
である.このような符号化方式をマルチビット方式と呼び,fs/2 で再生可能上限周波数が決定し,Qb でダイナミ
ックレンジがほぼ決定する符号化方式である.
一方,量子化ビット数を最低の Qb=1bit し,その代わりに非常に大きな fs でサンプリングを行う符号化方式を
1 ビット高速サンプリング方式と呼び, Sony,Phillips により開発された SuperAudioCD(SA-CD)では,D S D
(DirectStreamDigital)方式と呼ばれている.
1 ビット高速サンプリングでは,音の大きさを Qb による振幅の段階表現ではなく,音の粗密で表現することになる
ため,音波の物性そのものに近い符号化方式であると言われている.但し,Qb=1bit のため,符号化時の量子化ノ
イズはマルチビット方式に比べて非常に大きくなるため,これを改善するためには非常に大きな fs が要求される.
SuperAudioCD は,fs=2.8224MHz の高速サンプリングにΔΣ変調を併用することで,量子化ノイズを可聴
帯域外にシフト(ノイズシェーピング)し,可聴帯域内で約 120dB 上のダイナミックレンジを実現している.
また,記録帯域は,DC〜100kHz とされている.
このように音声信号のデジタル符号化に関しては現在,マルチビット方式」と「1 ビット高速サンプリング方式」
の2がある.一般に「PCM」や「LPCM」と称する場合は「マルチビット方式」を表す場合が多い.一方,1
ビット高速サンプリングが採用されている大衆メディアは現在 Super AudioCD みであることから,1 ット
高速サンプリングと DSD は同義語として扱われることが多い.
L
R
C
LFE
LS
BS
L
R
C
LFE
LS
BS
L
R
C
LFE
LS
BS
RS
RS
RS
制作過程
エンドユーザーによる再生
メディア
DVD-Video
サラウンド処理
サラウンド処理
マスター