User Manual

Multichannel Monitoring Tutorial Booklet (M2TB) rev. 3.5.2
Masataka Nakahara : SONA Corporation
©2005 YAMAHA Corporation, ©2005 SONA Corporation
22/74
2-3. 記録特性
「記録特性」とは,スタジオで制作したマスターテープを制作対象メディアに記録する際に許容される特性を意味
する.
メディアへ記録される各チャンネルの特性は,上記で示した符号化・圧縮方式による特性に準じる.また,アナロ
グ記録のものに関しては,記録媒体のスペックによることになる.但し,Lossy 圧縮(非可逆圧縮)のものに関し
ては.fs Qb がそのまま記録特性に反映されるわけではないので注意が必要である(特に,ダイナミックレンジ)
現状では,ほとんどのメディアにおいて,全てのチャンネルはフルレンジ記録可能である.
但し,LFE 及びサラウンド・チャンネルに関しては,メディアにより違いが生じる.
2-3-1.LFE チャンネル
映画や DVD-Video など,DolbyDIGITAL で記録されるメディアにおいては,記録時に帯域が 120Hz までに制限
される*.
DTS に関しても,それに準じる.但し,映画においては,80Hz までが DTS による LFE チャンネルの記録帯域と
なる.
デジタル放送(欧州他)で用いられる MPEG-2 に関しても同様に,LFE の記録帯域の上限は 125Hz でに制限
される.
MPEG-2AAC(デジタル放送,日本)に関しては,符号化性能としてはフルバンド記録可能であるが,伝送スペク
トルの関係から LFE チャンネルに帯域制限が生じることがある.従って,伝送系含めた特性として LFE チャンネル
の記録帯域を認識しておく必要がある(ISO/IEC 及び ARIB 参照)
音楽メディア(DVD-Audio,SuperAudioCD)においては,LFE チャンネルに関してもメインチャンネルと同
様にフルレンジ記録が可能である.
*厳密には,DolbyDigital では,600Hz 程度までの信号を DVD-Video LFE チャンネルに記録することが出
来るが,エンコーディング時のオプションとして LFE チャンネルに対する LPF(fc=120Hz)がデフォルト採
用されているため,特殊な場合を除き 120Hz LFE チャンネルの記録・再生における上限周波数と考えておい
た方が良い.
2-3-2.サラウンド・チャンネル(S,LS,RS,BS)
3-1 マトリックス(Dolbystereo,Dolbysurround,DTSstereo)においては,S チャンネルの記録帯域が 100Hz
-7kHz に制限される.また,5.0 マトリックス(DolbyProLogicII)に於いては,LS 及び RS の記録チャンネ
は,100Hz〜20kHz に制限される.
映画における DTS(5.1,6.1)では,サラウンド・チャンネル(LS,RS,BS)の記録帯域が 80Hz 以上に制限
されるが,マスターテープに記録されているそれ以下の帯域は,LFE チャンネルにまとめて記録されるため,再生
結果としてはフルレンジとなる.いわゆるベースマネージメント(4.にて解説)による記録である.