User Manual

Multichannel Monitoring Tutorial Booklet (M2TB) rev. 3.5.2
Masataka Nakahara : SONA Corporation
©2005 YAMAHA Corporation, ©2005 SONA Corporation
34/74
3-1-3. センタースピーカー配置
Rec.ITU-RBS.775-1 では,L,C,R スピーカーの設置高さを全て同じ高さ(耳の高さ)とすることが推奨され
ている.従って,映像を伴う再生環境である場合には,音響透過型スクリーンが推奨されることになる.音響透過
型スクリーンを用いない場合に関しては,画面の直上もしくは,直下にセンタースピーカーを設置するように言及
されている.
3-1-4. LFE(サブウーファー)の記述
Rec.ITU-RBS.775-1 には,LFE が追加システム(オプション)として付記されているが,それを再生するサブ
ウーファーの設置場所に関しては,提示されていない.但し,再生帯域に関しては,20Hz〜120Hz 明示されて
いる(ANNEX 7)また,再生レベルに関しては,検討中としながらも,映画と同様の+10〜+12dB 程度のゲイ
ンを与えることの有用性が言及されている(ANNEX7)
3-1-5. モニター距離
リスニングポイントから各スピーカーまでの距離(モニター距離)に関しては,Rec.ITU-RBS.775-1 の中では
明記されていないが,その参照 Recommendation である Rec.ITU-RBS.1116-1
[2]
において,2〜3m のモニ
ター距離がマルチチャンネル再生環境用として推奨されている.
サラウンド再生環境の基本は,Rec.ITU-R BS.775-1 であるが,以下のような場合に他のスピーカー配置を検討
した方が良い場合がある.
1.映画等,映像音響の表現としてフライオーバーなど動的なサラウンド・パンニングが重要な場合.
2. 対象とするエンドユーザーの多くが,ITU-R の配置からかけ離れており,それらエンドユーザーとの互換性に
配慮する必要がある場合.
3.部屋(スタジオ)の環境として,ITU-R 配置が困難である場合.もしくは,無理矢理 ITU-R 配置とすることで,
違和感のある再生音場となってしまう場合.例えば,非常に狭い部屋で ITU-R 配置を実現した場合,耳の真横に
サラウンドスピーカーが配置されてしまい,違和感のあるサラウンド再生が行われてしまうなど.
スピーカー配置の考え方は,部屋の大きさ,すなわちモニター半径(リスニング・ポイントからスピーカーまでの
距離)や部屋の音響処置(吸音,拡散など)によってもその最適な形が変わってくる.
すなわち,スピーカー配置は,スタジオで制作されるメディアの性格とスタジオの物理的な環境(広さ,モニター
半径)の双方を総合的に判断した上で検討する必要がある.
自身のサラウンド再生環境に関して理解しておくことは,制作者として重要な事項の 1 つである.特に再生環境の
スタンダードといわれることの多い ITU-R 以外の配置を検討する場合には,それぞれの再生環境の特徴に関して把
握しておくことが重要である.
スピーカー配置は,主に「L-R の開き角「サラウンドスピーカー配置」の 2 種類の組み合わせによって決定され
る.