User Manual

Multichannel Monitoring Tutorial Booklet (M2TB) rev. 3.5.2
Masataka Nakahara : SONA Corporation
©2005 YAMAHA Corporation, ©2005 SONA Corporation
38/74
その分 QUAD に比較してサラウンドスピーカーが前方へ配置されることになったといった解釈が可能である.L/R
とLS/RS との繋がりよりも,サラウンドだけの再生音場としての自然さを優先した場合には,QUAD の後ろ半分
を切り出した 135°配置は,良い配置だとも考えられる.
3-3-1-3.150°
サラウンドの L,R もフロントの L,R と同等な音響条件が必要だと考える場合には,サラウンドスピーカーを 150°
の位置に配置すると,完全に前後対象の設置環境が得られる(但し,厳密には部屋形状等の室内音響条件の前後対
称性も要求される)
このような配置では,L/R LS/RS 開き角が同じであるため,サラウンド・パンによる音像推移は,円を描い
360°回りやすい.前方定位と後方定位の双方が重要な場合に適した配置である.ITU-R が音場表現型なのに対
して,150°配置は音像定位型の配置といえる.
但し,サラウンドスピーカーを後方に設置すればするほど,サラウンド音場がモノラル化するとともに,前後の音
場分離が顕著になる.
3-3-2.ディフューズサラウンド
ディフューズサラウンドを構築する最も一般的な方法は,サラウンドスピーカーを複数個用いる方法である.サラ
ウンドスピーカーを複数設置する場合は,横配置(<135°)と後方配置(>135°).のそれぞれのエリアにス
ピーカーを設置することが重要である([Fig.24].それにより,横配置と後方配置のそれぞれのメリットを生か
すことができ,サラウンドのステレオ感(横配置のメリット)と 360°のサラウンド・パン(後方配置のメリット)
の双方が可能なモニタリング環境を構築しやすい.
一方,サラウンドチャンネルを複数スピーカーで構成する場合の LS,RS の音響インテンシティベクトルは,複数
スピーカーのファンタム音像位置に位置することが確認されている
[4][5]
.例えば,100°と 150°にスピーカー
を配置した場合,LSもしくは RS チャネル再生時音響インテンシティベクトは,125°となり,125°
スピーカーを配置した場合と同様となる.ディフューズサラウンドにおいてダイレクトサラウンドとの互換性を検
討する場合は,サラウンドスピーカーのファンタム音像の位置に関して検討を行うと良い.
[Fig.24]サラウンドスピーカーの設置角度(ダイレクトサラウンド):100°〜120°,135°,150°
L
C
R
RS
LS
°
135
°
150
side
rear
°
100