User Manual

Multichannel Monitoring Tutorial Booklet (M2TB) rev. 3.5.2
Masataka Nakahara : SONA Corporation
©2005 YAMAHA Corporation, ©2005 SONA Corporation
47/74
3-8-4.スピーカーの設置高とタイムアライメント
全てのスピーカーが同じ高さに設置されていない環境で,ディレイ補正を行う場合には,再生音場と再生特性との
兼ね合いに関して検討を行わなければならない.
[Fig. 34]は,サラウンドスピーカーの高さとモニター距離との関係を表した図である.「A」は,全てのスピーカ
ーが同じ高さに設置されている例であり,「B」「C」は,サラウンドスピーカーがフロントスピーカーより高く設置
されている例である.「B」は,サラウンドスピーカーのモニター距離を他のスピーカーと同一にするために,平面
上のサラウンドスピーカーの位置がリスニングポイントに近づいていいる様子を表している.「C」は,平面上のサ
ラウンドスピーカーの距離を他のスピーカーと同一にするために,サラウンドスピーカーの実距離がフロントスピ
ーカーより長くなっている様子を表している.
[Fig.34]スピーカー設置高とタイムアライメント
「A」の場合:○再生特性,○サラウンド音場
全てのスピーカーが平面上で等距離に配置されているため,サラウンドの再生音場は正円となり良好である.また,
各スピーカーからリスニングポイントまでの実距離も等しいため,全てのチャンネル間においてコムフィルター現
象やハース効果が生じる心配が無く,再生周波数特性も良好である.
「B」の場合:○再生特性,△サラウンド音場
各スピーカーからリスニングポイントまでの実距離が全て等しいため,全てのチャンネル間においてコムフィルタ
ー現象やハース効果が生じる心配が無く,再生周波数特性に関しては良好である.但し,平面上では,サラウンド
スピーカーの位置が近くなってしまうため,サラウンドの再生音場は正円とはならない.サラウンド再生音場とし
ての自然さは,各スピーカーとリスニングポイントとの距離が,平面上で等しくなることで得られる.このような
ケースでは,近くて高い位置からサラウンドが再生されている感じとなり,奥行き感のないサラウンド再生となる.
サラウンドがフロントより遠い場合に不自然さを感じることは少ないが,近い場合には違和感を感じることが多い.
自動調整によるディレイ補正を行った場合は,このような音場が形成されてしまう可能性があるので,注意が必要
である.
「C」の場合:△再生特性,○サラウンド音場
平面上での等距離が確保されているため,サラウンドの再生音場は正円となり良好である.一方,サラウンドスピ
ーカーからリスニングポイントまでの実距離は,フロントスピーカーより長くなってしまうため再生特性に支障が
生じる可能性がある.例えば,フロントチャンネルとサラウンドチャンネルから同じような信号が再生された場合,
コムフィルター現象によりハイ落ちした再生音となってしまうなどの障害が考えられる.
L
C
R
RS
LS,RS
L,C,R
LS
L
C
R
RS
LS,RS
L,C,R
LS
L
C
R
RS
LS,RS
L,C,R
LS
ABC