User Manual

Multichannel Monitoring Tutorial Booklet (M2TB) rev. 3.5.2
Masataka Nakahara : SONA Corporation
©2005 YAMAHA Corporation, ©2005 SONA Corporation
50/74
4.ベースマネージメント
中小規模のスタジオでは,定在波の影響による部屋のモード現象が顕著となり,各スピーカーの低域特性にばらつ
きが生じやすい.
その結果,マルチチャンネルのモニタリングにとって重要な以下の事柄に支障をきたす可能性が生じる.
1.全てのチャンネルの特性が揃っていること.
2.LFE の再生レベルが,他のチャンネルの低域特性+10dB のゲインを保っていること(DVD-V,映画等)
従って,各チャンネルの低域特性を揃えることは,マルチチャンネルのモニタリング環境の構築にとって最も重要
なテーマの 1 つとなる.
そのためには,何等かの「ベースマネージメント(BassManagement)」を検討する必要がある.
中小規模のスタジオにおいて,ベースマネージメントを行うための手法には,「室内音響的手法」「スピーカー設置
位置の検討」「電気音響的手法」の 3 つの方法が考えられる.
4-1. 室内音響的手法
室内音響的には,厚い吸音層を設けたり,壁を大きく傾けたりすることで対処する.
100Hz の低域を完全に吸音するためには,理論上 85cm 以上の厚さの吸音層が必要となる.
但し,部屋が小さくなればなるほど物理的な事情により厚い吸音層を設けることが困難となることが多い.
4-2. スピーカーの設置位置の検討
スピーカーの低域特性は,室内音響的な影響と密接に関係している.
従って,スピーカー設置位置の検討は,低域再生特性の改善に有効な手段の 1 つとなる.
スピーカー配置に関しては,設置位置の自由度の高いサブウーファーに対してのみ検討可能な場合が多い.
サブウーファー配置の検討とベースマネージメント・コントローラー(後述)の併用は,中小規模のスタジオにと
って最も効果の高い低域改善方法の 1 つである.
4-3. 電気音響的手法
電気音響的には,[Fig.35]に示すベースマネージメント・コントローラーをモニターシステムに適用することで
対処する.
一般的に,ベースマネージメントというと,ベースマネージメント・コントローラーによる処理のことを意味する
ことが多い.
[Fig.35]ベースマネージメント・コントローラー(1)
LFE
LS
RS
L
R
C
SUB
LS
RS
L
R
C
+10dB
HPF
LPF
HPF
HPF
HPF
HPF