User Manual

Multichannel Monitoring Tutorial Booklet (M2TB) rev. 3.5.2
Masataka Nakahara : SONA Corporation
©2005 YAMAHA Corporation, ©2005 SONA Corporation
51/74
[Fig.36]ベースマネージメント・コントローラーによる再生特性(1)
ベースマネージメント・コントローラーは,メインチャンネルの低域成分をサブウーファーにルーティングさせる
クロスオーバフィルターである.これにより,サブウーファーからは,各メインチャンネルから合成された低域成
分と LFE 信号の双方が出力されることになり,ベースマネージメント以降(サブウーファーのアンプ)では LFE
ャンネルのみのゲインの調整が不可能となる.したがって,ベースマネージメント・コントローラーでは,LFE
生音のゲイン切り替え(+10dB:DVD-Video,映画等,±0dB:DVD-Audio,SuperAudioCD 等)の機能も
併せて必要となる.
ベースマネージメント・コントローラーは,メインスピーカーの低域補強といった単純な役割だけではなく,低域
再生特性の改善や民生機における再生機能の確認といった意味も併せ持つ.
以下に,ベースマネージメント・コントローラーによる主なメリットを示す.
A.メインチャンネル(L,C,R,LS,RS)の低域特性を揃えることができる.
最もばらつきが生じやすい低域特性が揃うことで,各チャンネルの特性が揃いやすくなる.
特性の善し悪しに関わらず,全チャンネルの特性がそろっていることは,2 チャンネル,マルチチャンネル問わず
プロのモニター環境としては最も重要な事項である.2 チャンネルの場合には,試聴環境を左右対称とすることで,
全てのチャンネル(L,R)の特性を比較的容易に同一のものとすることが出来たが,マルチチャンネルでは,試聴
環境を左右対称とするだけでは,特に低域の特性を揃えることは困難である.
B.サブウーファーを最適な場所に設置することで,全てのチャンネルの低域特性が改善できる.
中小規模の部屋では,良い低域特性を与えるスピーカーの設置場所は非常に限られている.
設置位置の自由度の高いサブウーファーをその場所に設置するだけで,その部屋にとって最も良い低域特性を全チ
ャンネルに与えることができる.
C.LFE チャンネルにおける+10dB のバンドゲインを確実に得ることができる.
ベースマネージメントを用いることにより,メインチャンネル+10dB の再生ゲインを全ての LFE 帯域に対して与
えることができる.
+10dBの生ゲインが LFE に確実に与えられていない場合,LFE の効果が他のチャンネルに埋もれてしまい正確
に聞き取れなくなることが多い(映画,DVD-Video).LFE チャンネルの再生クオリティが確保された環境は,映
画や DVD-Video における LFE 制作にとって非常に重要である.
-20
-10
0
+10
+20
20
31.5
50
125
200
315
500
800
1.25k
2k
3.15k
5k
8k
12.5k
20k
1/3 octave band center frequency [Hz]
Relative SPL [dB]
+10dB
LFE
L, C, R, LS, RS, BS
80Hz
SUBWOOFER
MAIN SPEAKER