User Manual

Multichannel Monitoring Tutorial Booklet (M2TB) rev. 3.5.2
Masataka Nakahara : SONA Corporation
©2005 YAMAHA Corporation, ©2005 SONA Corporation
55/74
  2)メインスピーカーが,80Hz 以下まで再生できるようなラージタイプの場合,
     「ハイパス・フィルターの特性」=24dB/oct. とする.
     すなわち,「フィルター:24dB/oct.」「スピーカー:0dB/oct.」「クロスオーバー:24dB/oct.」
【フィルタータイプ】
フィルターのタイプ(バタワース,リンクウィッツなど)に関しては,ローパス・フィルターの種類及びメインス
ピーカーの特性とのマッチングにより決定する.
例)メインスピーカーが 80Hz 以下で減衰するスモールタイプの場合
・LPF 「リンクウィッツ」 fc=80Hz,-24dB/oct
・HPF 「バタワース」 fc=80Hz,12dB/oct
このように,ハイパス・フィルターの特性は,使用するスピーカーの特性により適宜選択することが望ましい.
[Fig.35]に示したベースマネージメント・コントローラーは,民生機のプレーヤーや AV レシーバーに多く用い
られるタイプである.このタイプのベースマネージメント・コントローラーを用いた場合,[Fig.36]に示すよう
に,LFE の再生帯域の上限が,メインチャンネルのクロスオーバー周波数により制限される.一般的に,クロスオ
ーバー周波数は 80Hz に設定されることから,[Fig.35]に示したベースマネージメント・コントローラーでは,
LFE の再生帯域が 80Hz に制限されることになる.一方,DVD-Video や映画では 120Hz までの LFE 信号の記録・
再生可能であり,DVD-Audio SuperAudioCD ではフルレンジ記録・再生が可能である.メディアに記録可能
な再生帯域をすべて再生する必要がある制作現場では,[Fig.41]に示すベースマネージメント・コントローラー
を用いる必要がある.このタイプのベースマネージメント・コントローラーは,メインチャンネルのクロスオーバ
ー用ローパスフィルター(LPF1)と LFE 用のローパスフィルター(LPF2)の 2 つのローパスフィルターを有し
ており,目的に応じて LPF2 のカットオフ周波数を変更することが可能である.業務用のベースマネージメント・
コントローラーの多くは,[Fig.41]に示すタイプである.
例) ・LPF1,HPF fc=80Hz
・LPF2 fc=120Hz(DVD-Video,映画等),スルー(DVD-Audio,Super Audio CD 等)
・AMP+10dB(DVD-Video,映画等),±0dB(DVD-Audio,Super Audio CD)
このタイプのベースマネージメント・コントローラーでは,80Hz 以上の帯域にて+10dB のゲイン(DVD-Video,
映画)が確保されているか否かが,室内音響特性に左右されることになるが([Fig. 42],マスタリングやオーサ
リング等,マスターに記録された信号の全てをチェックする必要のある作業やプレビュー用途には,有効なベース
マネージメント・コントローラーである.
一方,ミキシングなどの制作過程では,定位感を持つ 80Hz 以上の信号を LFE 信号に用いる音響制作は避けられる
傾向にあり,fc=80Hz のローパスフィルターが LFE のマスター信号に適用されることが多い.その際は,[Fig.35]
に示すベースマネージメント・コントローラーを使用することが可能と考えられる.
[Fig.41]ベースマネージメント・コントローラー(2)
LFE
LS
RS
L
R
C
LS
RS
L
R
C
AMP
HPF
LPF2
HPF
HPF
HPF
HPF
SUB
LPF1