User Manual

Multichannel Monitoring Tutorial Booklet (M2TB) rev. 3.5.2
Masataka Nakahara : SONA Corporation
©2005 YAMAHA Corporation, ©2005 SONA Corporation
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[Fig.42]ベースマネージメント・コントローラーによる再生特性(2)
以上のように,ベースマネージメントは,使用するスピーカーやスタジオの用途など様々な要因を総合的に判断し,
スペックを決定する必要がある.また,スピーカーとのマッチングに配慮したフィルター特性やサブウーファーの
設置などを厳密に検討し,サブウーファーをメインスピーカーのウーファーユニットと同様のクオリティで扱うこ
とが重要である.それらが検討された設置環境に対して,綿密な調整作業を行うことで,ようやく本来のベースマ
ネージメントの真価が発揮される.
だたし,厳密に調整された環境であっても,ベースマネージメント・コントローラーによりサブウーファーにルー
ティングされた 80Hz 以下の低域成分は,完全に無定位というわけではない.サブウーファーの設置位置の工夫に
より,ある程度の定位感の改善は図れるが,コンテンツによっては,サラウンドの低域成分が前方に配置したサブ
ウーファーから聞こえてくる場合もある.特に音楽もののコンテンツに関してはそのことが好まれないことも多い.
また,ベースマネージメントにより改善が図れる帯域は 80Hz 以下であり,100Hz の低域にしてやはり
室内音響的な処置が必要である.
ベースマネージメントは,中小規模のサラウンドモニター環境における低域再生特性の改善には非常に有効な手段
の1つであるが,必ずしもオールマイティな手法ではない.スタジオの音響条件や制作コンテンツの内容により,
ケースバイケースでその使用を判断すると良い.一般的に,ポスプロ用途には使用した方がメリットが大きく,音
楽用途には部屋の音響条件との兼ね合いで判断することになる.但し,音楽においては,再生スピーカーの微妙な
位相特性がその制作に影響を及ぼすこともあり,ベースマネージメントが障害となる場合がある.LFE に関しても
同様に,LPF による位相変化や遅延などへの懸念から,音楽では使用されないことが多い.
但し,ベースマネージメントを制作時の再生環境として使用するか否かは別として,エンドユーザー環境での再生
状況の確認や,超低域雑音のチェック等の用途として,制作スタジオには装備しておいた方が良い機材である.
ヤマハデジタルコンソール「DM2000「DM1000「O2R96様々な試環境や制
即座に対応できる先進的なベースマネージメント機能が内蔵されている.様々なスピーカーとのマッチングに対
応するため,バターワース,リンクウィッツ・ライリーといった 2 種類のフィルター特性,また 12dB/oct.や
24dB/oct どのスロープをスピーカーごと(L&R,C,LS&RS)に設定可能である.また,LFE LS/RS
再生レベルの可変機能等,様々なメディアに対するモニターコンディションの調整も可能である.その上,ベー
スマネージメントの ON/OFF も簡単に行え,ベースマネージメント効果の試聴確認も容易である.THXpm3
認証のこのベースマネージメントは,THX プリセットを呼び出すことで,即座に THX
pm3 認証スタジオのモ
ニターシステムに対応することも可能である(DM2000O2R96Ver.2.1 DM1000Ver.2.0
降)
-20
-10
0
+10
+20
20
31.5
50
200
315
500
800
1.25k
2k
3.15k
5k
8k
12.5k
20k
1/3 octave band center frequency [Hz]
Relative SPL [dB]
+10dB
LFE
L, C, R, LS, RS, BS
120Hz
SUBWOOFER
MAIN SPEAKER
80
+10dB?