User Manual

Multichannel Monitoring Tutorial Booklet (M2TB) rev. 3.5.2
Masataka Nakahara : SONA Corporation
©2005 YAMAHA Corporation, ©2005 SONA Corporation
65/74
6-3. 狭帯域ピンクノイズ
再生チャンネルごとに周波数特性が異なってしまう原因には,以下の事項が考えられる.
1.スピーカーの再生特性 低域及び高域再生限界
2.部屋の音響特性 低域特性の乱れ
以上に加え,
3.騒音計のマイク特性 安価なものは高域特性が測定できない
など,測定システムによる測定誤差も調整結果に影響を与える.
前述のように周波数特性とオールパスレベルは密接な関係がある.従って,各チャンネルの周波数特性にばらつき
の生じている環境では,騒音計のみによる調整(オールパスレベル 85dBC)では大きな誤差が生じてしまう可能性
があり,それと平行して RTA によるバンドレベル(71dB,1/3oct.)の確認を行うことが望ましい.
各チャンネルの周波数特性に不安がある環境でありなが RTA による調整が困難である場合には,500Hz〜2kHz
に帯域制限されたピンクノイズを調整用信号として用いると良い結果を得られる場合がある.なぜなら500Hz
2kHz 帯域制限されたピンクノイズには,再生環境の周波数特性として不安定な要因が多い低域と騒音計のグレー
ドにより左右されやすい高域成分が含まれていないからである.
[Fig.52]は,広帯域ピンクノイズ(黒色)とそれを 500〜2kHz に帯域制限したピンクノイズ(灰色)の特性
を示したものである.500Hz〜2kHz のピンクノイズは広帯域ピンクノイズに比べてバンド幅が狭い分,オールパ
スレベルが 5dB 低い 80dBC となっていることが分かる.従って,500Hz〜2kHz の狭帯域ピンクノイズを使用
して各チャンネルのレベル調整を行う場合は,オールパスレベル(騒音計の指示値) 85dBC ではなく,5dB
80dBC に合わせる必要がある.
[Fig.52] 500〜2kHz ピンクノイズと広帯域ピンクノイズ
民生レシーバーやプレーヤーに内蔵されているピンクノイズの多くは,このような狭帯ピンクノイズである.但し,
そのレベルに関しては厳密ではないため,85dBC 80dBC 等の絶対値をターゲットとした調整を行う場合には
注意が必要である.
また,Dolbylab.の業務用デコーダ DP564 のように予めレベル補正が行われた狭帯域ピンクノイズが内蔵され
いるものもあり,そのような場合は,狭帯域ピンクノイズを用いた場合でも 80dBC ではなく 85dBC を基準とし
た調整が可能である.
40
50
60
70
80
90
AP(C)
20
31.5
50
80
125
200
315
500
800
1.25k
2k
3.15k
5k
8k
12.5k
20k
1/3 octave band center frequency [Hz]
SPL [dB]
All pass level : 85dBC
1/3 octave band level : approx.71dB
Wide band
All pass level : approx. 80dBC
1/3 octave band level : approx.71dB
500Hz-2kHz