User Manual

Multichannel Monitoring Tutorial Booklet (M2TB) rev. 3.5.2
Masataka Nakahara : SONA Corporation
©2005 YAMAHA Corporation, ©2005 SONA Corporation
69/74
6-5. ディレイ調整
全てのスピーカーがリスニングポイントから等距離に設置してある環境であっても,タイムアライメントの測定・
調整を行っておく方がよい.再生音の到達時間は,スピーカーの距離差以外にも,スピーカー個々の電気的な個体
差,その他機材,ワイヤリング等により僅かなディレイが生じていることも多く,それらが原因でハイ落ちなどの
モニタリング障害が生じることがあるからである.
タイムアライメントの調整に関しては,先ずは,スピーカーごとの距離差に応じたディレイを各スピーカーに適用
する.距離差に関しては,平面上の距離差を用いるか実距離差を用いるかに関して,サラウンド音場と再生特性の
兼ね合いから判断する必要がある(p.47,8-8-4.参照)
 ※[msec]=ミリ秒(1/1000 秒)
次に,僅かな時間差によりチャンネル間にコムフィルター現象が生じていないかをチェックする.
調整対象とする 2 つのチャンネルから同じピンクノイズを同じタイミングで再生し,RTA で周波数特性を確認する.
それぞれのチャンネル単独では見られなかったディップが,2 つを同時に再生した時に生じる場合,ディレイ差に
よるコムフィルタリング現象が生じている可能性がある.
[Fig.56]RTA によるタイムアライメント:コムフィルター現象の確認
[Fig.56]は,Ach Bch では見られなかったディップが,Ach Bch を同時に再生した場合に,12.5kHz
生じている例である.
この場合,Ach Bch に約 0.04msec の再生のずれが生じていることになる.0.04msec は,約 14mm の距
離差に相当する.このようなコムフィルター現象によるディップが確認される場合は,そのディップが可聴上限の
20kHz り高い周波数へとシフトするようにチャンネル間のディレイを調整する.ディップが 20kHz 下の帯域
にて確認されなくなった状態で,2つのチャンネル間のタイムアライメントは,0.025msec(8mm)以下の精度
で調整されていることになる.
ディレイ時間[msec]=
音速344[m/sec
]
距離差[mm
40
50
60
70
80
AP(C)
20
31.5
50
80
125
200
315
500
800
1.25k
2k
3.15k
5k
8k
12.5k
20k
1/3 octave band center frequency [Hz]
SPL [dB]
Channel A
A+B
Channel B
Difference
0.025
0.06
0.130.25
0.5
1.0
9
22
43
86172
344
[msec]
Comb filtering effect
90
[mm]