User Manual

Multichannel Monitoring Tutorial Booklet (M2TB) rev. 3.5.2
Masataka Nakahara : SONA Corporation
©2005 YAMAHA Corporation, ©2005 SONA Corporation
7/74
1-2-1. 3-1ch
2ch のシステム(L,R)を踏襲し,センター・チャンネル(C)及びサラウンド・チャンネル(S)を付加した再
生方式である.
サラウンド・スピーカーは,左右後方に 1 つずつ設置されているが,モノラル再生となる.
「3-1」の「3」は,L,C,R を表し,「-1」は S を表す.
「3-1」を「3.1」と表記した場合には,「L,C,R」+「LFE」を意味することになるため,注意が必要である.
1-2-2. 5.1ch
3-1ch のシステムを踏襲し,サラウンドのステレオ化(LS,RS)と低域効果用の LFE(LowFrequencyEffect)
チャンネルを付加した再生方式である.
LFE チャンネルは,低域再生専用のサブウーファーから再生される.
1-2-3. 6.1ch
5.1ch のシステムを踏襲し,新たにバックサラウンド・チャンネル(BS)を付加した方式である.
バックサラウンド・チャンネルを再生するためのスピーカーを 2 つ用いる場合,それらを BSl,BSr と表記するこ
とがあるが,再生される信号は BSl=BSr のモノラル再生となる.
1-2-4.その他
その他の方式としては,5.1ch をベースとして特定チャンネルを使用しない 3-2(LFE無し),2-2(C,LFE
し)等がある.
6.1ch より多いチャンネル数のフォーマットとしては,7.1ch が存在する.
7.1chには,映画で使用される SDDS 方式と,DVD-Video などに使用される DolbyProLogicIIx がある.
SDDSは,LとCの間及びRCの間にそれぞれLCチャンネル,RCチャンネルを付加したディスクリートの7.1ch
方式であり,大規模映画館におけるスクリーンスピーカーの中抜けを補間する用途等で用いられている.SDDS
7.1ch は,5.1ch と互換性を有しているため,SDDS 5.1ch 及び 7.1ch の双方に対応したフォーマットとい
える.
DolbyProLogicIIx は,デコーダ側の処理でマトリックス理論を応用して BS のステレオ化(BSl,BSr)を行う
ものであり,現状では民生デコーダ(レシーバー)における再生側でのサラウンド処理といった位置づけである.
現在のマルチチャンネルシステムは,従来のシステムとの互換性を保つことで発展してきたシステムであり,360°
のバーチャル音響再生を行うために研究・開発されたシステムではない.
従って,現状のマルチチャンネル・システムに対して完全なバーチャル音響再生能力を期待してしまうと,作品制
作時に困窮することになる.特に真横方向の音像定位(L LS のファンタム音像,R RS のファンタム音像)等
は,聴覚の生理的な機能から現状のスピーカー配置では困難な表現の 1 つである.
新たに与えられたチャンネルを効果的に使い,如何に「エンターテイメント性の高い」作品を作るかが,マルチチ
ャンネル制作における重要なポイントである.