User Manual

Multichannel Monitoring Tutorial Booklet (M2TB) rev. 3.5.2
Masataka Nakahara : SONA Corporation
©2005 YAMAHA Corporation, ©2005 SONA Corporation
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[Fig.56]のようにコムフィルタリング現象が払拭されていない 2 つのスピーカーから相関性の高い信号を再生し
た場合,リスニングポイントにおいてハイ落ちした再生音として受聴されてしまうことになる.このことは,異な
るチャンネル間に相関性の高い信号を使用し,精密な音場表現の再生を試みる目的で制作されるような音楽ソフト
の再生環境においては特に重要な問題である.
チャンネル間のディレイ調整は,スピーカー設置位置の補正といった大まかな意味だけではなく,制作環境として
の再生周波数特性の確保といった観点からも重要である.そのためには,0.025msec(fs=48k or 44.1k
ける 1 サンプル単位)以下の精度で調整できるディレイをモニター調整機材として適用することが望ましい.
ある 1 で全てのチャネルのタイムアライメントが厳密に整えられた再生環境では,その 1 点を中心としてフォー
カスのとれたサラウンド再生音場が形成される.通常は,その 1 点をリスニングポイントとする.一旦,フォーカ
スの合ったサラウンド音場が形成されると,リスニングポイントを外れても,場所相応のサラウンド音場を鑑賞す
ることができる.このように,タイムアライメントの図れたリスニングポイントを明確に生成することは,リスニ
ングエリアを 1 点に規制するのではなく,リスニングエリアを拡大する意味を持っている.一方,フォーカスの定
まらないサラウンド再生環境では,どの場所においても不十分な再生音場となり,その中で一番妥協できるポイン
トがリスニングポイントとなる.このことは,逆にリスニングエリアを狭くしてしまうことを意味している.
尚,ベースマネージメントが適用された環境では,ディレイ調整をベースマネージメントの前(チャンネルバス)
ではなく,ベースマネージメントの後(スピーカー,サブウーファー)に対して行わなければならない.
ヤマハデジタルコンソール「DM2000「DM1000「O2R96」では,0.02msec ステップ(Max
30msec)での精密なディレイ補正機能が,各スピーカーに対して適用可能である.