User Manual

Multichannel Monitoring Tutorial Booklet (M2TB) rev. 3.5.2
Masataka Nakahara : SONA Corporation
©2005 YAMAHA Corporation, ©2005 SONA Corporation
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7.まとめ
映画,DVD-Video,DVD-Audio,SuperAudioCD,デジタル放送,ゲームなど,現在では様々な大衆メディ
でマルチチャンネル作品がリリースされている.マルチチャンネルの再生特性はそれら様々なメディアごとに決ま
っており,それらに準じた再生環境の構築が,作品の制作現場であるスタジオでは要求される.
従って,マルチチャンネルの再生環境を構築するためには,まずは制作対象とするメディアに関するフォーマット
の理解が必要である.
ダウンミックスやベースマネージメント等,エンドユーザーの再生特性 2 チャンネルのシステムに比べてバラエ
ティに富んでいる.エンドユーザー環境との互換性に配慮した作品制作は,パッケージメディアの制作に必要とさ
れるプロの技術であり,この点に関しては 2 チャンネルもマルチチャンネルも同じである.エンドユーザーの試聴
環境に対して配慮を行うためには,民生機の再生(デコード)プロセスの理解や一般家庭でのスピーカー設置の問
題などに関する理解が必要である.そのためには,スタジオにおける究極のサラウンド再生環境への関心だけでは
なく,自宅におけるコンシューマーレベルでのサラウンド環境の構築や機器の操作,試聴など,制作者がサラウン
ドオーディオのユーザー体験を豊富に持つことが重要である.2 チャンネル制作において,ラジカセ,TV,カース
テレオ,ヘッドホンオーディオ等の再生に配慮したミキシング技術を多くのエンジニアが有しているのも,エンド
ユーザーとしての体験があるからこそである.
まとめると,マルチチャンネル作品の制作には再生環境に対する配慮が重要であり,そのモニター環境の構築に関
しては,
1.制作対象とするメディアに関するフォーマットの把握.
2.スタジオの環境(広さ,吸音)の配慮.
3.エンドユーザー環境への配慮(様々な再生環境に対する互換性)
4.測定及び調整作業.
といった事項を総合的に検討し,音響設計及び機材選定を行うことになる.
本書は,それらに必要な基本事項をまとめたものであり,マルチチャンネルのモニター環境を構築しようとされる
方々の一助となれば幸いである.
ヤマハデジタルコンソール「DM2000「DM1000「O2R96マルチチンネル再
ニターシステムのほぼ全てが内蔵されており,特別な外部機器無しに容易にプロレベルの再生環境の構築が可能
となっている.また,サラウンド再生に特化した操作性に配慮しており,様々なメディアへの再生フォーマット
の変更が直感的にできるようになっている.ピンクノイズ等の測定信号も内蔵しており,再生環境の立上げを総
合的にサポートできるサラウンドコンソールである.