User Manual

Yamaha Sound System Simulator Y-S
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取扱説明書 V3.1
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10. 算方法について
計算方法
本ソフトウェアは受音点または受音面におけるアレイスピーカーの応答を算出するスピーカーシステムの設計支
援ソフトウェアです。
応答は、幾何音響に基づき、各スピーカーからの応答の足し合わせにより算出されます。
各スピーカーの応答は、受音点とスピーカーの位置の関係から、対応する方向のインパルス応答を選び出し、そ
こに距離による減衰、空気吸収、アンプタイプ、システムアッテネーション、シグナルプロセッサー(EQ、ディ
レイ)の影響を考慮して算出されます。
応答の足し合わせには、位相を考慮する方法と、エネルギー加算による方法の 2 通りがあります。
応答は直接音のみに限定され、反射のない自由音場での計算となります。
オクターブバンドの音圧レベルは、システムにピンクノイズが入力されているものとして計算されます。
入力するピンクノイズには、狭帯域ノイズと全帯域ノイズの 2 種類があります。
可聴化に用いる 2 チャンネルの応答は、各スピーカーの応答に対応する方向の頭部伝達関数(HRTF)を畳み込ん
だうえで、それらの応答を足し合わせて算出されます。
自動設定方法
Y-S
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には 2 つの自動設定があります。ひとつは室形状に合わせて適切なスピーカーを選び出して配置するもの
Auto layout)で、もうひとつは各スピーカーの条件(設置角、EQ、アンプタイプ、入力レベル、システムアッ
テネーション)を決めるもの(Auto tuning)です。
これらの機能による結果はあくまでも目安であり、微調整および仕様変更が必要となります。計算は以下の理論
に基づき行われます。
1. Auto layout
スピーカーの種類は、室形状、床面積、形状の寸法比により、適切なスピーカーが選び出されます。
スピーカーの位置は、室内の天井高を考慮しながら、スピーカーの配置位置(CenterCenter + SideSide)に
合わせて決定されます。
角度はデフォルト値(PanRotTilt30°Splay Angle:最小)に設定されています。
2. Auto tuning
スピーカーの条件はアレイスピーカーごとに設定されます。
スピーカーの角度(PanTiltSplay Angle)は、ユーザーが選んだアレイスピーカーのカバー領域内の音圧レ
ベルの標準偏差が最小になるように設定されます。
アレイスピーカーを構成する各スピーカーのターゲットポイントすべてが、選択したカバー領域内にあるときの
み、適切な角度が算出されます。
各スピーカーの EQ およびシステムアッテネート値は、アレイスピーカーを構成する各スピーカーのターゲットポ
イントにおいて、その周波数特性がフラットかつユーザーが設定する必要音圧レベルに近づくように設定されま
す。(注 1このとき軸点での音圧レベルはエネルギー加算により計算されるため、干渉による peak および dips
は補正されないことになります。注 2:ディレイは自動で設定されません。ディレイはすべて 0ms に設定されま
す。)
インプットレベル設定では、要求されている SPL を参考にしながら、まず各スピーカーに必要な出力を設定しま
す。次にアッテネーションレベルを設定し、ひとつのアレイスピーカー内のスピーカー間のパワーの差異を調整
します。最後に必要な出力とアンプのゲインから入力信号のレベルを設定します。