User Manual

CL シリーズの概要
取扱説明書
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CL シリーズの概要
特長
CL シリーズは、ヤマハ独自のユーザーインターフェース
「Centralogic」を核としてさらに進化した操作性、あらゆ
るニーズに高水準で応える内蔵エフェクト、I/O デバイス
との組み合わせによりさまざまな現場にフレキシブルに
対応できるシステム構成が高次元で融合することにより、
ハイクオリティで洗練されたライブサウンド環境を実現
するデジタルミキシングコンソールです。
はじめてでも使いやすく、使い込めばさらに
快適になるユーザーインターフェース
トップパネル上のフェーダーに展開されるチャンネルの
組み合わせを切り替えて操作できる「フェーダーバンク」
というスタイルで全体が統一されています。フェーダーバ
ンクには、インプット系チャンネル、アウトプット系チャ
ンネルのほか、チャンネルの種類に関係なく組み合わせを
自由に選択できるカスタムフェーダーバンクを設定でき
ます。各チャンネルには、チャンネルネームを表示する
ディスプレイやチャンネルカラーを表示するインジケー
ターを装備し、高い視認性を提供しています。また、インジ
ケーターの明るさは、暗転などにも対応できるレベルの広
い輝度範囲で設定できます。
ディスプレイ左側に配置された SELECTEDCHANNEL
セクションでは、現在選択している特定チャンネルの主要
パラメーター( ゲイン、EQ、ダイナミクスのスレッショル
ド、バスへのセンドレベルなど ) をノブで操作可能。アナ
ログミキサーのモジュールのような感覚で操作できます。
トップパネル中央には、8 つのチャンネルを一括操作する
Centralogic セクションを搭載。キーひと押しでこのセク
ションに割り当てる 8 チャンネル /DCA グループをすば
やく切り替えながら、フェーダー、キュー、オン / オフなど
を操作できます。また、ディスプレイにはタッチスクリー
ンを採用。画面内のボタンやノブを直接タッチして、機能
のオン / オフ切り替えや項目の選択が行なえます。
ミックスパラメーターの設定は、インプット系チャンネル
のゲイン設定やファンタム電源も含めて、シーンとしてス
トア ( 保存 )/ リコール ( 読み込み ) が行なえます。パネル
上のフェーダーはすべてムービングフェーダーを使用し
ており、シーンをリコールすると即座に記録されたフェー
ダー位置が再現されます。
Dante よるフレキシブルなシステム構成
I/O デバイス Rio3224-D などの外部機器との接続には、
イーサネットを使ったオーディオネットワークプロトコ
「Dante」を採用。I/O デバイスは、ID を設定して接続す
るだけで自動的に認識され、パッチする機能も用意されて
います。
Dante を使った大規模なネットワークを構築する場合で
も、万が一のトラブルに備えてリダンダントネットワークを
構成できます。また、数の CL シリーズで同じ I/O デバイ
スを共用する場合は、ネットワーク上を流れる音声を一定の
レベルに保つゲインコンペンセーション機能により、大規模
な音響システムでの利便性が確保されています。
コンピューターにインストールされた DAW ソフトウェア
へのマルチチャンネル録音は、ソフトウェアドライバー
「DanteVirtualSoundcard」を使って行なえるため、別途
オーディオインターフェースを用意する必要はありません。
至高のアナログサウンドをデジタルテクノロ
ジーで実現する PREMIUMRACK
アナログ回路を部品レベルで忠実に再現する VCM テク
ノロジーにより、至高のアナログサウンドを実現した
PREMIUMRACK を搭載しています。「原音忠実」を目指
してチューニングされたアナログ回路から入った音を、
PREMIUMRACK では、そのキャラクターを忠実に再現
した音作りを実現します。RupertNeveDesigns
Portico5033EQ/Portico5043Compressor をは
じめ、U76Compressor、Opt-2ALevelingAmplifier
など 8 種類のタイプが用意されています。
豊富なエフェクト /GEQ ラックによる多彩な
音作り
PREMIUMRACK とは独立して、最大 8 系統を同時に使
用できる高品位なマルチエフェクトを内蔵。リバーブ、
ディレイ、マルチバンドのコンプレッサー、各種の変調系
エフェクトなどを、内部のバス経由で、あるいは任意の
チャンネルにインサートして利用できます。
また、エフェクトとは別に 16 系統の GEQ ラックを搭
載。31BandGEQ、Flex15GEQ、8BandPEQ、8ch
Automixer、16chAutomixer が用意されており、任意の
出力バスにインサートして使用できます。Flex15GEQ
は、31 バンドのうち任意の 15 バンドまでのゲイン調整
ができます。また 1 つの仮想ラックの中に 2 台の GEQ
をマウントできるため、最大 32 台の GEQ を同時に使用
できます。エフェクト / グラフィック EQ はタッチスク
リーンに表示される仮想ラックにマウントして使用しま
す。現在マウントされているモジュールを一目で確認で
き、モジュールの切り替えや入出力のパッチ変更も直観的
に行なえます。
充実したサポートツール
CL シリーズを活用するために、さまざまなユーティリ
ティーソフトウェアを用意しています。本体の設定を編集
できる「CLEditor」は、Windows/Mac の両プラット
フォームに対応。スタンドアローンで動作し、本体と接続
できないオフライン環境でのセッティングもできます。
iPad 用アプリケーション「CLStageMix」は、WiFi 経由
でネットワーク接続された CL シリーズを遠隔操作でき
ます。ステージ上でモニターを確認しながら EQ を操作し
たり、会場のさまざまな場所での音を確認しながらミキシ
ングをしたり、といった作業が行なえます。
「MonitorMix」は、演奏者がステージ上からモニターバラ
ンスを調整するための iOSアプリケーションです。
PM5D、M7CL、LS9 の各設定ファイルと CL シリーズの
設定ファイルとのコンバートには「ConsoleFile
Converter」が使用できます。過去にほかのモデルで設定
したデータを、CL シリーズ用にコンバートして活用でき
ます。
I/O ードやプロセッシングカードによる拡張
リアパネルに別売の mini-YGDAI カードを装着するス
ロットを 3 基装備しています。AD カード、DA カード、
ジタル I/O カードによる入出力の追加や、DSP カードに
よるプロセッシングやエフェクトの拡張ができます。