User Manual

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Y-S3 スピーカシステムデザインガイド
直接音と反射音
1.スピーカの狙い位置の設定
Y-S
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では、スピーカアレイごと、またはそれを構成するスピーカごとのコンター図が出力
できるため、床面上でのカバーエリアをチェックしながら、スピーカの狙い位置を調整す
ることができる。このとき、複数のスピーカによるカバーエリアの重なりが大きいと、床
面上での音圧分布に位相干渉による谷間が広い範囲で現れる。Y-S
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では音圧分布のカラー
マップ表示を使って、この影響を評価できる。ただし、Y- S
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では直接音による影響のみを
計算するため、反射音による影響を含んだ実際のホール内における音圧分布とは異なるこ
とが予想される。この反射音の影響がどのように現れるのかを把握しておくことは、カバ
ーエリアの設計において重要である。
以下では、センター位置に 2 台構成のスピーカアレイを設置した場合を例にとり、スピー
カ狙い位置の設定例とそのときの位相干渉による音圧分布上での谷間の状態を示し、最後
に、実際のホールで測定した音圧分布との比較例を示す。
スピーカ狙い位置の設定
開き角による狙い位置の違い
まず初めに、スピーカの開き角の違いによる、スピーカごとの狙い位置の評価例
を示す。Y-S
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上では、 をクリックして Single Mode 表示にすると、アレイを
構成するスピーカ 1 台ずつの狙いエリアを示すコンターが確認できる。また、画
面左上の Frequency Band を変更することで、表示するコンターの中心周波数
とバンド幅が変更できる。以下では、1/1 OCT Band における結果を用いる。
例えば、Splay Angle 60.0 とすると、黒い四角で示される各スピーカの狙い位
置はかなり壁際に近い位置となっており、客席形状に対してスピーカの開き角が
広すぎる、という印象を受ける。そこで、Splay Angle 50.0 に変更すると、
スピーカはそれぞれ左右エリアの中央付近を狙っており、直感的にはほぼ適切な
狙い位置になっていると考えられる。
1: Splay Angle の変更(左: 60.0 50.0