Automatic Microphone Mixer Automatic Microphone Mixer White Paper April 2013 はじめに 基本的な利点、音響ゲインの仕組み、ゲートタイプ オートマチックマイクロホンミキサーは、複数のマ とゲインシェアリングタイプの違い、最後に製品例 イクロホンを使用する場合に有用で、特に台本のな として Dugan-MY16 カードを紹介します。 い演目において、ミキシングエンジニアの煩雑なフ ェーダー操作を軽減します。 このドキュメントでは、オートマチックミキサーの 1
Automatic Microphone Mixer 1.
Automatic Microphone Mixer 者に対して、まるで 1m 離れたところに話者がいるか 圧レベルが等しいことを示しています。これより、 のように聴こえさせる(=10m 位置で 65dBSPL の音 最も遠い聴取者位置におけるスピーカーからの音圧 圧レベルを得る)には、音響システムは少なくとも レベルが計算できます。 20dB のゲインを持っていなければなりません。 話者から最も遠い聴取者位置での音圧レベル =L-20log(D2/D1)・・・(式 2) これを「音響ゲイン(Acoustic Gain)」 、あるいは「必 要音響ゲイン(NAG=Needed Acoustic Gain)」と呼び ます。必要音響ゲインは、話者、マイクロホン、ス *1 必要音響ゲインは、式 1 と式 2 の差として定義され ピーカー、聴き手との距離によって変化します 。下 るので、以下の式で表されます。 図で説明します。 必要音響ゲイン(NAG) )-(L-20log(D0 / DS) ) =(L-20log(D2 / D1) D1:マイクとスピーカーの距離 =20log(D0 /
Automatic Microphone Mixer インシェアリングタイプ」の 2 種類があります。 3. 複数のオープンマイクロホンの影響 これまで 1 本のマイクロホンを使ったシステムにお 4.
Automatic Microphone Mixer たとえば、周囲雑音レベルを測定するために別のマ 複数のマイクロホンの総和の潜在音響ゲインが常に イクロホンを設置して、周囲雑音よりも話者のマイ 等しくなるように各マイクロホンのゲインを調整し クロホンの入力が大きくなった時に当該マイクロホ ます。一定のゲインを分け合うことから、 「ゲインシ ンをオープンにするというものです。 ェアリング」と呼ばれます。ノイズゲートを使用し ゲートタイプのオートマチックミキサーの特徴的な ないため頭欠けがなく、スレッショルドレベルやア 機能として、ラスト・マイクロホン・ホールド機能が タックタイム、ホールドタイム等の複雑な設定も不 あります。次のマイクロホンが立ち上がるまで、最 要となります。 後に使われたマイクロホンが動作しつづけて、語尾 ゲインシェアリングタイプのオートマチックミキサ が不自然に消えてしまうのを防ぐと同時に、周囲雑 ーに入力された信号は、メインの音声バスと制御バ 音が消えて残響感が断ち切られてしまうことも防ぎ スの 2 つに分配され、音声バスは音声を出力へと導 ま
Automatic Microphone Mixer と変わらないので、マイクロホンが 2 本同時にオー プンになってもハウリングは発生しません。 図 5 の②のケースを、式 7b を使って、実際に数値を 入れて確認してみます。 周囲雑音レベル(=マイクロホン 1 と 3 への入力音 圧レベル)を 45dBSPL、マイクロホン 2 への入力音 ① ② ③ ④ 図5 複数マイクロホン接続時のこのアルゴリズムの動作 を、図 5 を使って説明します。ゲインシェアリング タイプでは、ゲートタイプのようにマイクロホンを 圧レベルを 65dBSPL とします。まず、この 3 つの信 号の和は、10log(1045/10+1065/10+1045/10)=65dBSPL です。これらの値を式 7b に代入してみます。 マイクロホン 1 と 3 のオートミックスゲイン = 45-65 = -20 dB マイクロホン 2 のオートミックスゲイン = 65-65 = 0 dB オン/オフさせるのではなく、シームレスに適正な ゲインを各入力に配分します。この動作は、ミキシ ングエンジニアがミキサーの複数のインプット
Automatic Microphone Mixer 相関の信号の和は元のレベル+3dB、相関がある場合 入力音圧レベル)と仮定して計算します。 は元のレベル+6dB となります。 マイクロホン 1、2、3 のオートミックスゲイン 無相関の場合 = 45-50 = -5 dB オートミックスゲインが 65-68=-3dB となり、入力 全マイクロホンのオートミックス後の和 信号はそれぞれ 3dB アッテネートされます。65-3 =10log(10(45-5)/10+10(45-5)/10+10(45-5)/10)=45dBSPL =62dBSPL に調整された 2 つの互いに無相関な信号 の和は 65dBSPL で、これは 1 本のマイクロホンのレ つまり、ゲインシェアリングのアルゴリズム自身が、 ベルと同じ値です。 ゲートタイプのラスト・マイクロホン・ホールド機能 と同等の機能を有しているわけです。 相関がある場合 65-71=-6dB となり、入力信号はそれぞれ 6dB アッ レコーディングや放送において、自然なアンビエン テネートされます。65-6=59
Automatic Microphone Mixer これにより会議だけでなく、演台に 2 本のマイクロ Mini-YGDAI カードスロットに実装し、インプットチ ホンを立てた講演会でも、コムフィルターによる音 ャンネルに対してポストフェーダーでインサートし 質劣化を抑えてクリアな拡声が行えます。 て使用します。1 枚で 16ch(48kHz 時) 、最大 8 枚の 同時使用で 128ch(48kHz 時)のオートミックスに対 ゲインシェアリングタイプに固有の設定として、チ 応します。 ャンネルごとにウェイティング(重み付け)パラメ 各入力は a、b、c の 3 グループのいずれかにアサイ ーターがあります。これを調整してマイクロホンご ン可能で、各グループは個別のオートマチックミキ との音響ゲイン差を吸収することで、チャンネル間 サーとして機能します。ウェイティングやミュート、 で平等にオートミックスゲインを配分することがで バイパス、オーバーライド等の機能を実装し、PC や きます。また、この設定を優先マイクロホンに活用 Mac、iPad からコントロール、 モニタリ