User Manual
ミキサーの基礎知識
EMX512SC/EMX312SC/EMX212S
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基礎編
ミックスした音はよりすっきりとし
た感じになり、ほかの楽器の低音域
の音がより鮮明に聞こえるでしょ
う。同じようにピアノも低音域や中
音域に基音がある楽器なので、低音
域を少しカットすることでほかの楽
器の音( 特にドラムやベース ) をよ
り効果的に引き立てることができま
す。ただし、ピアノをソロで弾く場
合は、必要ありません。
逆にキックドラムやベースギターの
場合は、基音となる低音域以外に中
音域から高音域にわたって幅広く倍
音があります。楽器の特性 ( 低音域 )
をそのまま活かして、高音域を下げ
てミックスにスペースを持たせるこ
とがあります。
ブブ
ブブ
ーー
ーー
スス
スス
トト
トト
はは
はは
慎慎
慎慎
重重
重重
にに
にに
特殊なエフェクトをかけたい場合
は、好きなだけブーストしてもかま
いませんが、良質なサウンドでミッ
クスしたい場合は、ほんの少しだけ
ブーストしてみてください。たとえ
ば、中音域を少しブーストすると
ボーカルに存在感を与え、高音域を
少しブーストすると楽器に生気を与
えます。また、バスドラムやベース
のアタック感を強調したい場合は、
高音域を少しブーストしてみるとい
いでしょう。クリアで洗練されたサ
ウンドではない場合は、全体のミッ
クスをブーストして明瞭にしようと
するよりも、音を濁らせる周波数帯
域を見つけてカットするようにしま
しょう。
ブーストしすぎると、過大入力に
なったりノイズを増幅したりするの
で、気をつけましょう。
音音
音音
場場
場場
作作
作作
りり
りり
リバーブやディレイなどのエフェク
トをかけると、さらにミックスに磨
きをかけることができます。EMX
には、エフェクトが内蔵されていま
す。内蔵の DSP (Digital Signal
Processor =デジタル信号処理 装
置)を使って、外 部のエフェ クター
と同じように各チャンネルにリバー
ブやディレイをかけることができま
す。外部機器の配線も外部接続のた
めの音質劣化もありません。(22
ページ参照 )
ただし、エフェクトを使いすぎる
と、せっかくミックスした音が色あ
せてしまい全体的に透明感がなく
なってしまいます。エフェクトをう
まく使って、臨場感ある音質に変え
てみましょう。
リリ
リリ
ババ
ババ
ーー
ーー
ブブ
ブブ
//
//
デデ
デデ
ィィ
ィィ
レレ
レレ
イイ
イイ
タタ
タタ
イイ
イイ
ムム
ムム
リバーブやディレイの PROGRAM
はさまざまありますが、ほとんどの
PROGRAM にはリバーブ / ディレ
イタイムを PARAMETER コント
ロールで調整できます。リバーブ /
ディレイタイムをほんの少し工夫す
るだけで、音質に大きな差が生まれ
ます。リバーブタイムは、曲のテン
ポと音の密度しだいですが、バラー
ドなどのテンポがゆっくりした曲に
はリバーブタイムを長めに、テンポ
の速い曲や動きのある曲には短めに
設定します。ディレイタイムは、得
ようとしている効果に合わせて調整
します。ボーカルにディレイをかけ
る場合は、曲のテンポに合わせて付
点八分音符 (
) の長さなどに設定す
ると、心地よい効果が得られるで
しょう。
リリ
リリ
ババ
ババ
ーー
ーー
ブブ
ブブ
トト
トト
ーー
ーー
ンン
ンン
リバーブ系の PROGRAM には、高
音域と低音域のリバーブタイムのバ
ランスの違いや、全体的な周波数特
性の違いなどさまざまなタイプがあ
ります。自然に生じる残響 ( リバー
ブ)は、時間が経つにつれて低音域
より高音域が早く減衰していく傾向
があります。高音域が強すぎると、
不自然なサウンドになるだけでな
く、ミックスで調整したほかの高音
域と干渉してしまいます。ミックス
した原音よりも高音域のリバーブが
聞こえる場合は、PROGRAM を変
えてみましょう。原音の明瞭さを保
ちつつ臨場感を得られるタイプを使
うことをおすすめします。
リリ
リリ
ババ
ババ
ーー
ーー
ブブ
ブブ
レレ
レレ
ベベ
ベベ
ルル
ルル
ミックスの作業を長時間続けている
と、音を聞く感覚が麻痺してきま
す。加工しすぎの色あせたミックス
を完璧な作品と思い込んでしまうこ
とがあります。この「聴覚の罠」に
陥らないように、一度リバーブレベ
ルを下げた状態から音の変化に気づ
20 50 100 200 500 1 k 2 k 5 k 10 k 20 k
(
Hz
)
ピアノ
バスドラム
スネアドラム
バス
ギター
トロンボーン
トランペット
シンバル
基音 : 各楽器の音程感を与える周波数の音
代表的な楽器の基音 と倍音 のおおまかな分布
倍音 : それ以外の周波数の音
周波数帯域 (Hz)
LOW ブースト
(増幅)
LOW フラット
MID ブースト
(増幅)
MID フラット
HIGH ブースト
(増幅)
HIGH フラット
HIGH カット
(減衰)
MID カット
(減衰)
信
号
レ
ベ
ル
(dB)
LOW カット
(減衰)