User Manual

MGP16X/MGP12X 取扱説明書
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ミキサーの基礎知識
「クリアなミックス」のためのレベ
ル調整
イコライザーの設定のコツ
録音時にイコライザーで音質を調整するときは、かけすぎ
ないようにするのがポイントです。音のヌケが悪いとき
は、少しだけHIGHを上げます。低音を調したいとき
は、LOWを少しだけ上げます。あくまでも補正としてイ
コライザーを使うと最終的な仕上げ作業がスムーズにでき
ます。
クリアなミックスにするためのカット
たとえば、ピアノの音は低音域から中音域の範囲に基音が
ある楽器です。基音について普段私たちがCDなどの音楽
を聞くときは意識していませんが、低音域から中音域の範
囲でほかの楽器の明瞭さを干渉する場合があります。
基本的には、ピアノの音を入力しているチャンネルの低音
域は、少しカットしておきます。ミックスした音はより
すっきりとした感じになり、ほかの楽器の低音域の音がよ
り鮮明に聞こえるでしょう。ただし、ピアノをソロで弾く
場合は、必要ありません。
逆にキックドラムやベースギターの場合は、基音となる低
音域以外に中音域から高音域にわたって幅広く倍音があり
ますが、楽器の特性(低音域)をそのまま活かして、高音域
を下げてミックスにスペースを持たせることがあります。
基音 と倍音 のおおまかな分布
コンプレッサーの使い方
コンプレッサーには、過大入力時に歪みを生じさせること
なく入力信号を適切なレベルに合わせるリミッターの役割
と、ミックスの中で音をより際立たせるために「音のツブ
をそろえて」音質を良くする役割があります。コンプレッ
サーは通常ダイナミックレンジが極端に広いボーカルや
ベースギターなどに使います。ただし、コンプレッサーを
使いすぎると、ハウリングしやすくなりますので、少し抑
えて使いましょう。
マイク入力にはハイパスフィルター
ハイパスフィルターとは、ある周波数より下の周波数帯域
の信号をカットする機能です。MGPのハイパスフィル
ターをオンにすると100Hz以下の超低音域がカットされ
ます。
ボーカルの息などがマイクに吹きかかったときのボッ
といったノイズ、マイクを持つときのゴトゴトという
ハンドリングノイズ、マイクスタンドを通して床から伝
わってくる振動などを軽減します。特にマイクを使って集
音する場合は、ハイパスフィルターをオンにすることをお
すすめします。
レベル調整は重要なパートから
レベルの調整は、どのパートから始めればいいのでしょう
か?簡単に答えると、重要なパートのレベルを決めてか
ら、その他のパートのレベルを調整すればいいのです。
たとえば、ミックスの中でボーカルが曲の中心となる場合
は、ボーカルを基準としてミックスしてみましょう。まず
ボーカルのチャンネルを標準値(ノミナル)まで上げたあ
と、他の楽器をミックスに加えていきます。ボーカルの次
にどの楽器を加えていくかは、演奏している楽器のタイプ
や曲の方向性しだいです。たとえば、ピアノトリオがバッ
クのバラードソングの場合は、ボーカルの次にピアノを
ミックスに加えてみましょう。ボーカルとピアノのバラン
スを調整したあと、全体のバランスを支えるベースやドラ
ムなどを加えていきます。逆にリズムを調した楽曲の場
合は、ベースとドラムのバランスを調整したあと、ピアノ
を加えていきます。
20 50 100 200 500 1k 2k 5k 10k 20k (Hz)
シンバル
ピアノ
バスドラム
スネアドラム
ベースギター
ギター
トロンボーン
トランペット
基音:各楽器の音程感を与える周波数の音
倍音:それ以外の周波数の音
出力
入力
0(最小)
10(最大)