MU2000/1000のしくみ 講師:米谷 知己 この講座ではMU2000/1000を5回にわたってわかりやす く紹介します。 デモデータ制作:ディプス A A A A
A TOP dipss.
【1】MU2000って親戚のおじさんみたい? DTM音源の名前って、なんだかよそよそしいと思いませんか? たいていアルファベットと数字の組み合わせになってて、なんとなく親しみにく いって云うか、滅多に会わない親戚 のおじさんのような雰囲気があります。クラ スメートにこんな名前のヤツがいても、たぶんそいつとは友達になれないかもしれ ません。例えどこかでばったり会うことがあっても、曖昧に微笑んですれ違うだけ だったりしそうです。 考えてみると、自動車にはカローラやアコードなんて名前が付いてるし、テレビや 洗濯機にも画王や静御前なんて立派な名前が付いてます。DTM音源にも名前を付け ればいいのに、と思うのですが…。 というわけで、実はMU2000にもちょっとしたよそよそしさを感じてました。 僕が初めてMU2000を見たのは、何かのイベント会場。雑踏の中に、ふと懐かしい 曲が流れているのを聴いて振り向くと、NHKが制作した往年の名番組「新日本紀 行」のテーマ曲を演奏しているMU2000がありました。 「新日本紀行」は、1970前後の高度成長とともに消えゆく日本の原風景を、まる で映画のようなアングルで記録した往年の
【2】「えっ、1454音色〜!!」 いったい世界中には、何種類ぐらいの楽器があるのでしょうか。 オーケストラで使われている楽器だけでも数10種類はあるでしょうし、バロック楽 器、アジアやアフリカの民族楽器、多くの電子楽器などを加えれば数100種類〜 1000種類近くにはなるのでしょうか(正確な数字が判らなくてすいません)。 MU2000に内蔵されている音色は1454種類。最近のDTM音源では1000音色以上を 内蔵するものが珍しくなくなったとはいえ、とんでもない数だということが判りま す。たとえば、1音色を1分ずつ演奏したとすると、全ての音色を演奏するのに24 時間かかるわけで、全ての音色を把握するだけでも大変な作業になります。 1000音色と云えば、その昔、DX7の音色を1000種類以上も集めた友人がいたのを 思い出します。DX7では音色を保存するのにマッチ箱ぐらいの大きさのカートリッ ジ型のメモリーを使う仕組みになっていたのですが、その友人は64音色入りの ROMカートリッジと、32音色入りのRAMカートリッジをそれぞれ10数個ずつ、あ わせて30個近くのカートリッジをバッグに入れて持ち歩いていました。
【カテゴリーボタン】
【3】カテゴリーボタンを押すと、8つの基本ボイスが切り替わるよ☆ カテゴリーボタンを使うと、一覧表を見るまでもなく目的の音色を選ぶことができま す。 では、MU2000を操作しながらカテゴリーについて詳しく見てみましょう。 [Piano]ボタンを押してみましょう。 すると、カテゴリーがピアノに切り替わり、音色として「GrandP #」が選択されます。省略されてて 判りにくいと思うけど、これはグランド・ピアノの音色。 もう判ったと思いますが、カテゴリーというのは音色を分類する項目のこと。 MU2000では、内蔵している1454音色を18種類のカテゴリーに分けて、判りやすく整理しているって ワケです。 で、カテゴリーを選ぶときに使うのが、[Piano]ボタンをはじめとする18個のカテゴリーボタンなんで すね。 では、続けて[Piano]ボタンを押してみましょう。 すると、 「El.
リーに含まれる8種類の基本音色です。 基本音色とは、ピアノ・カテゴリーに含まれる楽器をさらに分類したものです。 このとき、ディスプレイの数字に注目しましょう。 [Piano]ボタンを押して基本音色が切り替わるたびに、右側の数値だけが001〜008に順番に切り替わっ ているのが判るでしょうか。 この数字は基本音色に付けられた音色番号で、MU2000では「プログラムナンバー」と呼ばれます。 ここまでを図にすると、次のようになります。
【4】ダイアルを回すとバリエーションが選べるぞ!! 次にダイアルを右向きに回してみましょう。 今度は、ディスプレイの左側の数字が切り替わりながら、音色が次々と切り替わり ます。 この数字の変化をよく観察すると、たとえば「001」のプログラムナンバーに対し て、「001」、「018」、「040」という順番に切り替わっていくのが判ります。 この左側の数字はバンクナンバーと云い、ここで切り替わる音色はバリエーション 音色と呼ばれます。 これがいったい何のバリエーションになっているのかというと、先ほどの基本音色 のバリエーションになっているワケです。 では、[Piano]ボタンを何度か押してプログラムナンバー=007の「Harpsi.
さらにダイアルを回し続けると、自動的にプログラムナンバーが切り替わって、次 の基本音色のバリエーション音色が順番に表示される状態になります。 そして、さらにダイアルを回し続けると、プログラムナンバー=008「Clavi #」の すべてのバリエーション音色を次々と表示した後、プログラムナンバー=001 「GrandP #」に戻ります。 ここまでを図にして、整理してみましょう。
【5】いろんなカテゴリーボタンを押してみる…[Piano]と同 じだ!! カテゴリーボタンとダイアルの仕組みが判ったら、他のカテゴリーボタンをどん どん押してみましょう。どれもこれも、ピアノバンクと同じ仕組みで音色が分類 されているのが判るはずです。 たとえば、[Chrom.perc.]ボタンを押すとクロマチックパーカッション・カテゴ リーに入り、「Celesta」(チェレスタ)の音色が選ばれます。続けて[Chrom.perc.
各カテゴリーがどんな楽器を含んでいるのか、おぼろげにでも知っておけば、音 色を選ぶスピードがさらに加速するはずです。 【カテゴリー一覧表】 ボタン カテゴリー名 プログラムナンバー カテゴリーの内容(含まれる音色の種類) Piano ピアノ 1〜8 ピアノ系の楽器 Chrom.perc.
音で確認してみよう さーて、音色を選ぶ方法がわかったところで、プリセットされている音色のうち、代表的なも のを聴いてみてもらいましょう。 下記には、ピアノ、ストリングス、ギター、ベースの音色を使った短いフレーズの演奏を用意 しています。ぜひ再生して、MU2000の音色を音で確認してみてください。 下記の演奏はすべ てSoundVQを使って圧縮しているので、再生にはMidRadioプレーヤーが必要です。MidRadio プレーヤーは、MidRadioダウンロードのページからダウンロードできるので(もちろん無料)、 お持ちで無い方は、ぜひダウンロードしてセットアップしてください。 ◆グランドピアノ(>000 >001「GrandP #」) 定評あるMU2000のピアノ音色の中でも代表 的なものです。 Click! ◆ギター(>000 >026「SteelGt#」) エレアコっぽい鳴りがいい感じの、ギター音 色です。 Click! ◆ベース(>000 >034「FngrBa #」、>000 >037「SlapBa1#」) フィンガーベースとスラップベースです。 Click! ◆ストリングス(>000
【6】特殊なカテゴリー…[SFX]、[Model excl.]、[Drum] カテゴリーボタンの最後に位置する[SFX]と[Model excl.]、[Drum]の3つのカテゴ リーは、一覧表のプログラムナンバー欄に「特殊」と書かれているように、他のカ テゴリーとはちょっと仕組みが異なります。 この3つのカテゴリーについて、順番に説明しましょう。 [SFX]ボタン…SFXカテゴリー このカテゴリーには、雷や風の音、人の足音など、さまざまな効果音が含まれてい ます。 通常の楽器音と違ってこれらの音色は、基本音色とバリエーション音色という関係 で分類することができません。そのため、[SFX]ボタンではプログラムナンバーが 切り替わらず、かわりに、効果 音が保存されている3つのメモリーが切り替える仕 組みになっています。[SFX]ボタンを押しているときにディスプレイ下段の表示に 注目すると、3種類のアイコンが順番に切り替わっているのが判ると思います。 ダイアルを回すと、このカテゴリーに含まれるすべての音色を順番に呼び出すこと ができるので、音色の切替にはダイアルを使うと良いでしょう。 [Model.
[Model.excl.
音で確認してみよう モデルエクスクルーシブ・カテゴリーの代表的なパッド音、SE音、シーケンス音、 シンセリード音、シンセベース音をカンタンにデモ曲で紹介しています。 使用している音色は、下記の12音色です。 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● [>056 >002 Habakkuk] [>096 >004 K/S Slap] [>016 >005 CheapOsc] [>008 >016 Envy] [>024 >004 Paranoia] Click ! [>048 >002 Refrex 2] [>016 >008 SprClick] [>120 >001 Vodou] [>008 >015 Jolly + ] [>088 >009 Malfnctn] [>104 >001 Satya] [>088 >003 Scud] それぞれの音色のキャラクターを確認してください。 なお、エフェクト、EQは使っていません。
【コラム1】選んだ音色をちょっと聴いてみるには… 選んだ音色をちょっと聴いてみたくなったら、MU2000にヘッドフォンやスピー カーを接続して音が鳴る状態してから[AUDITION]ボタンを押しましょう。ボタン を押している間、選んでいる音色が発音してくれます。
【1】シンセサイザーは夢の楽器だった パソコンや携帯電話に音源が搭載され、シンセサイザーがすっかり定着した今と なっては隔世の感がありますが、二昔前のシンセサイザーは、どんな音でも作れる 夢の楽器でした。 当時のシンセサイザーは一部のミュージシャンが実験的に使っているだけで、一般 市民がおいそれと触れるはずはなく、時折耳にする噂でその存在を知るだけでし た。 はじめてその楽器の噂を聴いたときには、謎に満ちあふれていました。「多く の真空管を使っているので、いつもストックを何十本も用意している」だの、「回 路の故障が多いのでプレーヤーはみんな電子工学の知識が必要」だの。 それから数年たち、ヤマハやコルグといった国内のメーカーが作ったシンセサイ ザーが市場に出回ると、ようやく夢の楽器を目にすることができるようになりまし た。 パネルに所狭しと並んでいるツマミをチョチョイと操作するだけで、トランペット の音になったり、ピックベースの音になったりする様子は、まるで魔法のように思 えたものです。 今にして思うと、音の立ち上がりや減衰のしかたが変化しているだけなので、トラ ンペットというよりもディケイの鋭いオルガン、ピ
DX7の音作りがあまりに難しかったこと、そしてプロミュージシャンの作った音色 データがカートリッジで出回ったことから、DX7でいい音を作れることよりも、気 に入った音色データを集めること、そして必要なデータをすぐに取り出せることが 重要になりました。 そりゃ、自分で作った音より、福田さんや生方さんの作った音の方が100倍もかっ こいいですからね。 その後、多くの音色がプリセットされたPCMシンセサイザーの登場によって、その 傾向は定着していきました。 かくて、シンセサイザーでの音作りがすっかりはやらなくなってしまったと云うわ けです。
【2】MU2000はシンセサイザー? では、我らがMU2000はシンセサイザーと呼べるのでしょうか。 それに対する答えは、「NO」、そして「YES」です。 まず、「NO」のワケから… ご存じのように、MU2000はXGに対応した音源モジュールです。そもそもXGは、音 源の互換性を目的に作られた規格ですから、個々の音色は作り替えられません。 ちょっと考えるとわかると思いますが、通常のシンセサイザーのように自分で作っ た音色が保存できたり、プロの作った音色を買ってきて使えるような仕組みになっ ていたら、これは互換性を維持することはできません。 ですから、MU2000にはユーザーが自分の作った音を保存するようなメモリーは用 意されておらず、音色プログラムを直接作り替えるような機能は持たされていない のです。 次に「YES」のワケを… 音色のエディットができると互換性が確保できないということは説明したとおりで すが、それでも音色を作り替えたいという要望に応えるために、XGではある仕組み が用意されています。 それは、音色を作り替えるための設定のことです(パートパラメーターと云いま す)。 たとえば、あるパートについて
【3】音を作る操作 MU2000の音作りの操作を説明しましょう。 後で説明するフィルターやEGのエディットに共通の操作なので、慣れてしまえば こっちのもの。MU2000の音色エディットがぐっと身近なものになるはずです。 (1) はじめに、音色を選びましょう。 ここでは、「>000>081」の「SquareLd」(スクエアリード)の音色を選んでいま す。 (2) 次に、[EDIT]ボタンを押してエディットのメニューを表示します。 (3) 続いて、[SELECT←/→] ボタンを押してカーソルを目的のメ ニューに移動してから、[ENTER]ボタンを押して画面 を切り替えま す。 たとえばフィルターのエディット画面に入るには、「FILTER」メ ニューにカーソルを移動してから[ENTER]ボタンを押します。 (4) 各エディット画面では、[SELECT←/→]ボタンを押して操作するパラメーターを 選び、ダイアルで数値を変更します。 たとえば、フィルターのエディット画面では[SELECT←/→]ボタンで下記のような3 つの画面 が切り替わります。
(5) [AUDITION]ボタンを押すと選択している音色が発音するので、音色の変化を確 認できます。 s
【4】音色を変化させる「フィルター」 いよいよMU2000の音色エディットです。 では、MU2000の音作りの中心的な存在であるフィルターを例にとって、音色エ ディットを体験してみましょう。 フィルターという言葉を辞書で引くと「ろ過器」と出ています。「ろ過器」といわ れてもピンとこないかもしれませんが、「不要なものを取り除く機器」と言い換え るとわかりやすいでしょう。コーヒーフィルターやエアーフィルター、たばこの フィルターなど、フィルターという名前の付いたものは身の回りにも数多くあり、 すべて不要なものを取り除く働きをしています。たとえば、コーヒーフィルターは コーヒー豆のかすを、エアーフィルターは空気中のほこりを、たばこのフィルター はニコチンを取り除く働きをしているわけです。 では、AWM2音源に装備されているフィルターは何を取り除くのかというと、元の 音(ウェーブ)に含まれる不要な倍音を取り除くのがその働きです。 音に含まれる倍音の種類が増減すると、それに伴って音色も変化します。 しかし、AWM2音源では音の元になるウェーブに対して倍音を付け加えることはで きません。 そこで、特定の倍音を取り除くこと
ハイパス・フィルター(High Pass Filter)は、基準となる周波数よりも低い周波数の 倍音を取り除くフィルターです。低い倍音を取り除いて、高い倍音(ハイ)を通 す(パ ス)ことから、ハイパス・フィルターと名付けられています。ハイパス・フィルター は、MU128とMU100、MU90に搭載されています。音全体のピッチは、音を構成す る最も周波数の低い正弦波(基音)によって決まります。ハイパス・フィルターで は、倍音ばかりでなく基音を取り除いてしまうため、音程感が希薄になり、独特の 効果 を得ることが出来ます。 [ハイパスフィルター] ローパス・フィルターとハイパス・フィルターを組み合わせることで、2つの周波 数の間の音だけを通 すバンドパス・フィルター(Band Pass Filter)や、逆に2つの周 波数の間の音だけを削るバンドエリミネート・フィルター(Band Eliminent Filter)な どと同様の効果を実現することもできます。 [バンドパス・フィルター]
[バンドエリミネート・フィルター] フィルターでは、取り除く周波数成分を多くしたり少なくしたりすることで音色を 変化させることができます。取り除く周波数成分は、カットオフフリケンシー(Cut off Frequency)という数値によって変化します。上の図でカットオフフリケンシー と書かれているのがそれです。 では、ローパス・フィルターのカットオフ・フリケンシーを例にとってその働きを 説明しましょう。 ●ローパスフィルターのはたらき 先ほどもふれましたが、ローパス・フィルターの場合、常にカットオフ・フリケン シーよりも高い周波数の倍音が取り除かれます。 そのため、たとえばカットオフ・フリケンシーの数値を下げると、比較的低い周波 数の倍音を含め多くの倍音が削られることになります。 その結果、音色は暗く、丸くなります。 [カットオフフリケンシーが-30] Click! カットオフ・フリケンシーの数値を上げると、取り除かれる倍音は少なくなりま
す。 その結果、音色は明るくなります。 といっても、あくまで相対的に明るくなっただけで、元のウェーブがそのまま発音 する状態に戻ったということです(このことはフィルターを理解する上でとても重要 なことです)。 [カットオフフリケンシーが+10] Click! 以上が、ローパス・フィルターによって音色が変更される仕組みです。 どうでしょうか、理解できましたか? いまいちピンとこなかった、という方のために、フィルターをブラインド(窓にか かってるあのブラインドです)にたとえて説明してみましょう。 ここで、窓の向こうに人が立っている情景を想像してみてください。窓にはブライ ンドがかかっています。ブラインドが上がっていると、人の姿をすべて見ることが 出来ます。ブラインドを少しずつ下げると、人の姿は上から順に隠れていきます。 ブラインドを下ろしきると、人の姿は見えなくなります。 ローパス・フィルターの働きは、このブラインドに似ています。たとえば、ブライ ンドの高さをカットオフ・フリケンシーに置き換えてみましょう。カットオフ・フ リケンシーが高いとき(この状態をフィルターが開いているといいます)は、元の ウェーブ
【5】音に独特のクセをつけるレゾナンス ローパス・フィルターには、レゾナンスという機能が備えられています。レゾナン スは、カットオフ・フリケンシー付近の音を強調して音色を変える働きを持ってお り、元のウェーブに対して特定の倍音を強調したり、新たな倍音を付加します。 [LPFレゾナンス] レゾナンスの効果は、カットオフ・フリケンシーの設定によって変化するために一 概に説明はできません。しかし、一般 的にレゾナンスをかけると、クセのある、輪 郭のはっきりした音になります。 [レゾナンスが0] [レゾナンスが+30] [レゾナンスが+63] Click! Click! Click! レゾナンスをかけた状態でカットオフ・フリケンシーの設定を変更すると、強調さ れる倍音の周波数が移動するためにアナログベースなどによく使われる「ミャー
ウ」という独特な効果 を再現することができます。アナログシンセサイザーでは、 鍵盤を押さえるごとにカットオフ・フリケンシーを自動的に変化させてこの効果 を 作っており、XG対応音源でもシンセベース1のボイスでは同様の方法で効果 が作ら れています。 [シンセベース1] Click! なお、レゾナンスをかけると、カットオフ・フリケンシー付近のレベルが持ち上げ られる一方、カットオフ・フリケンシーよりも低い周波数についてはレベルが下 がってしまいます。そのため、レゾナンスをかけ過ぎると低域がなくなり、音痩せ するので注意してください。 ●ハイパスフィルターのはたらき ハイパスフィルターでは、カットオフフリケンシーよりも低い周波数が取り除かれ ます。 カットオフフリケンシーの値を上げると、取り除かれる周波数成分が多くなりま す。低い周波数は音に音程感や重みを付け加える働きをしているため、それが多く 取り除かれると結果 的に音は音程感が希薄になり、軽く薄っぺらになります。 [カットオフフリケンシーが+0] [カットオフフリケンシーが+60] [カットオフフリケンシーが高い場合] Click! Cl
カットオフフリケンシーの値を下げると、取り除かれる周波数成分が少なくなり、 元の音に戻ります。
【6】フィルターを使った音色を聴いてみよう フィルターを使うと、プリセットされている音色を元にして、さまざまな音色バリ エーションを作り出すことができます。 では、MU2000/1000に付属のデモデータの中から、フィルターを使った音色をピッ クアップしてみましょう。 ●「rushhour.xws」の6パート「>064>008 PulseClv」 ローパスフィルターのカットオフフリケンシーとレゾナンスを操作して音色を作り 替えている例です。レゾナンスの効いた存在感のある音色になっています。 曲中の音色 LPF Cutoff=-30、LPF Reso=+46 (NO EFFECT) 【参考】フィルターを動かさない場合の音色 LPF Cutoff=0、LPF Reso=0 (NO EFFECT) ●「rushhour.
【参考】フィルターを動かさない場合の音色 LPF Cutoff=0 固定 さてさて、シンセサイザーとしてのMU2000の実力の一端を垣間見てい ただいたわけですが、いかがでしたか? MU2000では、フィルター以外にもEG(イージー)、PEG(ピッチ・イージー)、EQ(イ コライザー)など、音作りのためのパラメーターが多数用意されており、より多彩 な音色エディットが可能になっています。 というわけで、MU2000は立派にシンセサイザーですよね。 第3回に続く!
MU2000には、すべてのパートに効果をかけられるリバーブ、コーラスの2つのエ フェクトと、特定のパートにだけ効果 をかけられる4つのインサーションエフェク ト、そしてどちらのエフェクトとしても使うことができるバリエーションエフェ クトの合計7系統ものエフェクトが内蔵されています。ここまで充実したエフェク トを内蔵している音源は、MU2000以外にはちょっとみあたりません。 今回は MU2000のエフェクトについて、じっくりとご紹介していきましょう。 【1】深夜のビルに響く足音 ふだん僕がいる事務所は、多くのテナントが入っている12階建てビルの5階の一番 奥にあります(この講座もそこで作っています)。このビルがちょっと変わっていて 新旧2つのビルが廊下でくっついているような構造になっているため、エレベー ターを下りてから長い廊下を歩くことになります。 仕事が立て込んでくると、ビル全体がシンと静まった深夜になってようやく事務 所を出ることがあるのですが、そんなときには自分の足音が廊下全体に響いて、 まるで誰かが後ろからついてくるような気配を感じることがあります。ちょう ど、深夜の病院や学校の廊下を想像しても
のオフィスといった、特殊な空間でしょう。こういう場所では、部屋の広さや天 井の高さ、壁や床の材質、そこにいる人間の数などによって、元の音に対して特 徴的な残響音が付加されます。 音が鳴っている場所によってのことを音場というのですが、このように音場の種 類によって付加される残響音が異なるため、たとえばお風呂で鼻歌を歌うと上手 く聞こえるように、同じ音でもずいぶんと印象が変化するのです。 ピアノやギターなどの生楽器を演奏したときに聞こえる音も、楽器を演奏する場 所(音場)によって大きく変化します。練習スタジオ、自宅の部屋、ホールのステー ジなど、演奏する場所によって、それぞれ特徴的な残響音が付加され、聞こえ方 が替わります。 言い換えると、生楽器の場合は、たとえどんな場所で演奏したと しても、元の音に対してその音場特有の残響が付加されるのです。これが生楽器 の音の大きな特長です。 このままの状態では、シンセサイザーで生っぽいピアノやギターの音を鳴らして も、耳元で楽器が鳴っているような不自然な音にしか聞こえません。そこで、電 子楽器の音に自然な残響音を付加するリバーブなどのエフェクトが使われます。 リバーブは、音
【2】MU2000のリバーブはすごい もちろん、我らがMU2000にも高品位なリバーブが搭載されていて、さまざまなタ イプの残響を作り出すことができます。 そもそも、高品位なリバーブとそうじゃないリバーブは何処が違うのでしょうか? 答えは、作り出す残響音の密度にあります。 チープなリバーブでは、反射して返ってきた音を粗くしかシミュレートできませ ん。つまり、作り出される反射音の数が少なく、反射音が間引かれたような状態で 鳴ることになります。そのため、残響音がざらざらした音になってしまうほか、リ バーブを浅くかけたときに残響音がほとんど聞こえてきません。かといって、残響 を目立たそうとしてリバーブを深くすると、いきなりワーンと響く状態になってし まうため、とても使いにくいものです。 一方、MU2000が搭載するような高品位なリバーブは、非常に濃い密度で反射音を 作り出すために、滑らかで自然な残響音が再現できます。また、リバーブを浅くか けてもしっかりと残響音が生成されるので、うっすらと残響がかかるような上品な 効果 を作り出すこともできます。 また、高品位なリバーブでは操作できるパラメーター数が多く、パラメータ
■Reverb Time(リバーブタイム) リバーブタイムでは、残響の長さを設定します。クラシック専用のコンサートホー ルなどでは残響が1秒以上も持続するような設計になっているものもありますが、 ポップスなどを演奏する場合はリズムがクリアーに聞こえるように残響時間を少し 短めに設定するのがいいでしょう。 ■HPFCutoff(HPFカットオフ)、LPF Cutoff(カットオフ) 高音や低音の音にリバーブをかけなくする設定です。たとえば、スネアーにはリ バーブをかけたいが、バスドラムやハイハットにはかけたくないという場合に設定 します。 HPF、LPFとは、それぞれハイパス・フィルターとローパス・フィルターことです。 フィルターとはもともと不要なモノを取り除く機器を指しますが、ここではリバー ブをかけたくない音を取り除く働きをしています。リバーブをかける低音側の周波 数をHPFカットオフで、高音側の周波数をLPFカットオフで設定します。 ■Er/Rev Balance(Er/Revバランス) アーリーリフレクション(初期反射音)とリバーブ(残響音)の音量バランスを設定しま す。 間接音には、遅れとして感じら
バーブの、「ウ」の部分が初期反射音、「ワーン」の部分が残響音だと考えればわ かりやすいと思います 。 ■Initial Delay(イニシャル・ディレイ)、Reverb Delay(リバーブ・ディレイ) この2つのパラメーターはどちらも遅れを作り出します。イニシャル・ディレイはプ リディレイとも呼ばれ、直接音が鳴ってから初期反射音が鳴るまでの遅れを設定し ます(図5)。リバーブディレイは、初期反射音が鳴ってから残響音が鳴るまでの遅れ を設定します(図5)。ライブハウスなどで演奏すると、スピーカーから出た音が壁に 反射して返ってくる音が強調されて、残響感よりもディレイ感を強く感じる場合が あります。この2つのディレイを組み合わせることで、反射音が遅れてくるディレイ 感を作ることができます。 ■High Dump(ハイダンプ) 残響音の中の高い音の成分が減衰する割合を設定します。値が小さいほど高音域が 早く減衰します。実際のホールでは、壁の材質によって高音域の減衰の速さは変 わってきます。高音域が早く減衰すると落ち着いた残響音に、高音域の残響が遅い と明るい残響音になります。一般 的に高音域の残響は耳障りなので
【3】リバーブをかけてみよう MU2000では、初期状態で全パートにリバーブがかかる設定になっています。その ため、あまり意識せずにリバーブを使っている場合が多いかもしれません。 ここでは、ドラムパートにリバーブをかける場合を例にとって、MU2000で思い通 りのリバーブをかける手順をご紹介しましょう。 ■リバーブの深さを調節する手順 リバーブの深さは次の手順で調節します。 (1) リバーブの深さを調節するパートを選ぶ [PART-/+]ボタンを押して、リバーブの深さを調節するパートを選びます。 ここでは、パートA10を選びます。 この数値がパート番号です。 (2) リバーブセンドの画面を表示する [SELECT←/→]ボタンを押して、リバーブセンドの画面を表示します。 このカーソルを「REV」まで移動するとリバーブセンドの画面 になります。 (3) リバーブの深さを調節する ダイアルを回して、パート10のリバーブの深さを調節します。
数値を変更すると、パート10の棒グラフが変化します。 【ヒント】 [MUTE/SOLO]ボタンを続けて2回押すと選択しているパートだけが発音するソロの 状態になるので、リバーブの深さを確認しやすくなります。 ■リバーブのかかり方を変える手順 ここでは、フィルターのカットオフを変更してリバーブのかかり方を変えてみま しょう。 (1) エフェクトモードに入る [EFFECT]ボタンを押して、エフェクトモードに入ります。 (2) リバーブエディット画面 を表示する [SELECT←/→]ボタンを押してカーソルが「REV」に移動し、[ENTER]ボタンを押し てリバーブエディット画面 を表示します。 (3) HPFカットオフを選択する [SELECT←/→]ボタンを押して、○○○の画面を表示します。 (4) 値を変更する ダイアルを回して、値を変更します。
まず、バスドラムの音を聞きながらHPFカットオフを変更します。 最低のThruに設 定すると、すべての音にリバーブがかかります。ここから数値を上げていくと、 徐々に低音の音にリバーブがかからなくなります。 バスドラムの低音のドーンという音にリバーブがかから無くなり、すっきりした音 になります。 さらに上げていくと、スネアのリバーブまでがかからなくなってしま います。その間ぐらいに設定するのがポイントです。 Click! (5) LPFカットオフを選択し、ダイアルで値を変更する 次に、ハイハットの音を聞きながらLPFカットオフを変更します。 こちらは、最大のThruに設定するとすべての音にリバーブがかかります。 ここから数値を下げていくと、徐々に高音の音にリバーブがかからなくなります。 ハイハットのチキチキ音にリバーブがかからなくなり、すっきりした音になりま す。 さらに下げていくと、スネアのリバーブまでがかからなくなってしまいます。 こちらも、その間ぐらいに設定するのがポイントです。 Click!
【4】MU2000/1000のエフェクトはすごい さてさて、ここまでリバーブについて紹介してきましたが、もちろんMU2000/1000のエフェクトはリバー ブだけじゃありません。 それどころか、リバーブよりもパワフルなエフェクトを、さらに7個も(すごい!!)内蔵しているのです。 では、この超強力なMU2000/1000のエフェクトについて紹介しましょう。 下図は、MU2000/1000の内部構成を模式的に表したものです。この図を元にして、MU2000/1000のエ フェクトの構成や働きを説明したいと思います。 (1)パート 図の左には、パート1〜64が並んでいます。各パートにはそれぞれサックスやギターなどの音色が割り当 てられていて、MIDIデータを受信することで音声信号が流れ出します。
演奏が始まると、ここから音声信号が流れ出します。 (2)ミキサー 流れ出した音声信号は、ミキサーのインプットに入ります。ミキサーでは、パートごとにボリュームやパ ン、リバーブやコーラスのセンドレベル(→(4)で説明 )などを設定できます。 ボリューム、パン、リバーブセンドレベル、コーラスセンドレベル (3)インサーションエフェクト パート2〜4やパート6には、パートとミキサーの間に「インサーションエフェクト1〜4」と書かれたユ ニットが挟まっています。これはインサーションエフェクトと呼ばれるエフェクトで、パートごとに独立 して効果 をかけることができるという特長を持っています。詳しくは後述しますが、個々のインサーショ ンエフェクトはディレイやディストーション、ロータリースピーカーなど、さまざまなエフェクトとして 機能するマルチタイプになっていて、独立したマルチエフェクターと同等の機能を持っています。 MU2000/1000には、このインサーションエフェクトが4つ搭載されていて、パートを指定することで任意 のパートに効果 をかける仕組みになっています。
インプットから入力された音声信号にエフェクトの効果をかけ、アウトプットから出力します。 それぞれ、97種類ものエフェクトタイプを内蔵しています。 (4)システムエフェクト ミキサーの後に位置しているのが、リバーブエフェクトとコーラスエフェクトです。ミキサーのリバーブ センド/コーラスセンドから送られてきた音声信号にリバーブ/コーラスの効果 をかけて、ミキサーのアウ トプットから出力された音声信号とミックスします。 ミキサーでは、パートごとにリバーブセンドレベルとコーラスセンドレベルを設定することで、リバーブ やコーラスの深さをパートごとに調節することができます。 このような仕組みのエフェクトのことをシステムエフェクトと呼んでいます。 システムエフェクトの効果のかけ方については、リバーブエフェクトの操作を参考にしてください。 コーラスからリバーブに入るラインを使えば、コーラスとリバーブを直列につないで、コーラスのかかっ た音にさらにリバーブをかけるといった効果 をかけることが可能になります。 (5) バリエーションエフェクト 図のインサーションエフェクトの位置とリバーブ/コーラスエフェクトの位 置の両方に
●バリエーションエフェクトをミキサーの後ろの位置に切り替えると、リバーブやコーラスと同様に機能 し、3番目のシステムエフェクトとして働きます。すなわち、ミキサーのバリエーションセンドから送ら れてきた音声信号にエフェクト効果 をかけて、ミキサーのアウトプットから出力された音声信号とミック スします。 ミキサーでは、パートごとにバリエーションセンドレベルが設定できるようになり、ここでバリエーショ ンエフェクトの深さをパートごとに調節することができます。 (6)システムEQ 最終的に音声信号を加工するのがシステムEQです。これは、5バンドのパラメトリックEQで、各バンドご とに周波数やゲイン、Qを設定してMU2000の音を再生する環境に合わせて補正することができます。パラ メトリックEQとは、プロフェッショナルなレコーディング機器などに装備されている自由度の高いEQで、 各パラメーターの働きを理解せずに操作すると音を壊してしまう場合もあります。MU2000のシステムEQ には、「Jazz」、「Pops」など4種類のプリセットプログラムが用意されており、初心者にとっても使い やすい仕組みになっています。
【5】インサーションエフェクトをかけてみよう 前ページの図にあったように、MU2000/1000には独立したマルチエフェクターに匹敵する機能を備えたインサーションエ フェクトを4基も搭載しています。 インサーションエフェクトとは、楽器とミキサーとの間に挿入して効果 をかけることから付けられた名前で、ある楽器に 選択的にエフェクトの効果 をかけられるため、一般的にディストーションやフランジャーなど楽器の音を作り替えてしま うような用途で使われます。 同じエフェクトとはいえ、オケ全体に効果をかけていたリバーブなどと大きく異なるところです。 MU2000/1000の搭載するインサーションエフェクトは、さまざまなエフェクトとして機能するマルチエフェクトであると いう部分に大きな特長があります。なにしろ、97種類ものエフェクトタイプを内蔵しているのですから。 下記のエフェクトタイプ一覧表をみると、ディレイやエコーなどのディレイ系、ディストーションやオーバードライブな どの歪み系をはじめ、ローファイやトーキングモジュレーターといった特殊なものまで、主要なエフェクトがすべて網羅 されているのが判るでしょう。 【エフェクト
では、多くのエフェクトの中から幾つかを選んで、音で確認して頂きましょう。 ■WAH+DIST+DILAY(ワウ+ディストーション+ディレイ) Click! インサーションエフェクト1〜3を使用して、ギター3本の歪みを作りました。リードギターにかかっている複合エフェクト (ワウ+ディストーション+ディレイ)の効果 を確認してください。 ■TALKING MODULATOR(トーキングモジュレーター) Click! トーキングモジュレーターを使用しています。パラメーターチェンジでエフェクトパラメーターの「Vowel」を「a」、 「i」、「u」、「e」、「o」に変化させています。 ■OVERDRIVE+ROTARY SP(オーバードライブ+ロータリースピーカー)
Click! ロータリースピーカーは、レスリースピーカーの効果をシミュレートするエフェクトです。これに歪み系のオーバードラ イブを組み合わせることで、往年のロックオルガンの雰囲気を再現しています。 ■V DISTORTION HARD Click! ビンテージ・ディストーションのギターサウンドです。 ■V DISTORTION HARD+DELAY Click! ビンテージ・ディストーションとディレイの複合エフェクトです。 ■ビンテージサウンド 4基のインサーションエフェクトとバリエーションエフェクトをフルに使ってビンテージサウンドを再現してみました。 同じデータをリバーブとコーラスだけで演奏した場合と聴き比べてみてください。
【インサーションエフェクトを使った演奏】Click! 【リバーブとコーラスだけの演奏】Clik! さてさて、インサーションエフェクトの実力の一端を垣間見ていただいたわけですが、いかがでしたか? 音源モジュールがこんなに充実したエフェクトを何基も装備しているなんて、ちょっとビックリって感じですよね。 次回に続く
MU2000とMU1000の違いはたった1つだけ。サンプリング機能が付いているか、 いないか。だから、サンプリング機能を紹介するこのパート4は、MU2000だけの 紹介になります。 でも逆に言うと、MU2000とMU1000ってサンプリング機能以外はすべて同じ機能 なんですね。その割にはMU1000って名前の数字がMU2000の半分になってて、 ちょっと気の毒なような。機能的にみればMU1800ぐらいの価値は十分あるの に、なんて思いませんか? でもでも、一度MU2000のサンプリング機能を使ってみると、これはもう納得せざ るを得ないっていうか、サンプリング機能を搭載しただけで音源モジュールの可能 性がこれだけ広がるものかと、ほんとうにビックリしてしまいました。 もし、MU2000のサンプリング機能をDTM音源のおまけ程度に考えている人がいた ら(僕もはじめはそう思ってました)、ぜひこの講座を読んで目からどさどさウロコ を落としてください。 【1】方針決定 さてさて、はじめに方針を決めておきましょう。 今回は、MU2000とシーケンサーだけで曲を作ります。コンピューターを使えば ウェーブを自由に加工する
■各パートにボイスをアサイン そして、作成したボイスをプリセットボイス同様にマルチのパートに割り当てて、 エフェクトなどの設定を行います。ここでは、MU2000の超強力なインサーション エフェクトが大活躍するはずです。 ■シーケンサーでマルチを再生 最後に、このマルチを再生するシーケンスを組みます。MU2000のプリセットボイ スは使わずに、サンプリング機能で作成したボイスだけでシーケンスを組むつもり です。 これで、操作の方針が決定しました。 ではさっそく、CDのサンプリングから操作をはじめましょう。
【2】CDからサンプリング サンプリングCDには、ブレイクビーツをはじめギターカッティングやブラスリフ など、さまざまな音の素材が集められていて、ちょっとした音楽制作には非常に重 宝します。 最近では音楽誌にサンプリングCDの新譜レビューなども掲載されおり、店頭で試 聴してから購入できる楽器店もあるようなので、気に入ったCDを数枚購入してお くといいでしょう。 では、CDから必要な素材をサンプリングしてみましょう。 (1)CDプレーヤーの接続 はじめに、CDプレーヤーをMU2000のA/Dインプット端子に接続しましょう。 CDプレーヤー A/Dインプット端子 端子の種類としては、CDプレーヤー側がたいていステレオのミニフォーン・プラ グ、MU2000のA/Dインプット端子は標準フォーン・プラグになっています。 僕はいつも、一方がステレオ・ミニフォーン、もう一方が2マタに分かれてモノラ ルのピンになっているケーブル に、ピン-標準フォーンの変換プラグ(写真)を接続 して使っています。このケーブルを1本持ってると、いろんな場面 で使えるのでと ても便利ですよ。 【ケーブルと変換プラグ】
(2)サンプリングの準備 MU2000でサンプルをレコーディングする準備をしましょう。 1.サンプリングモードに入る [SAMPLING]ボタンを押してサンプリングモードのメニューを表示します。 2.サンプルレコード画面に入る [SELECT←/→]ボタンを押して「REC」にカーソルを移動し、[ENTER]ボタンを押し ます。 3.インプットゲインを設定する 入力ソースに合わせてインプットのゲインを設定します。CDからサンプリングす る場合はlineに、マイクからサンプリングする場合はmicに設定します。 [SELECT←/→]ボタンを押して「InputGain=」を表示し、ダイアルを回して 「line」に設定します。 4.
5.トリガーレベルを設定する CDを再生すると同時に自動的にサンプルのレコーディングが始まるように、トリ ガーレベルを設定します。 [SELECT←/→]ボタンを押して「TriggerLvl=」を表示し、ダイアルを回して「01」 に設定します。 6.
目的のブレイクビーツやフレーズの再生が終わったら、[EXIT]ボタンを押してレ コーディングをストップします。 すると、画面に「Keep Sample 001?」と表示されるので、[ENTER]ボタンを押し ます。 これでサンプル001がレコーディングできました。 【サンプル001】Click! 同じ操作で、6つのサンプルをレコーディングします。 【サンプル002】 Click! 【サンプル003】 Click! 【サンプル004】 Click! 【サンプル005】 Click! 【サンプル006】 Click! これで、CDからのサンプリング作業は終わりです。 続いて、サンプリングしたウェーブを加工する操作に移ります。
【3】ウェーブを加工する サンプリングしたウェーブは不要な部分まで録音されているため、そ のままでは曲の中で使うことができません。そこで、ウェーブの不要 な部分を切り取るなどの加工を行い、完成度を上げる作業が必要になります。 では、MU2000のサンプルエディット画面で、先ほどサンプリングしたウェーブを 加工しましょう。 (1)加工するウェーブを選ぶ サンプルエディットのサンプル画面に入り、加工するウェーブを選びましょう。 1.サンプルエディットのメニューを表示する [SAMPLING]ボタンを押してサンプリングモードのメニューを表示し、[SELECT←/ →]ボタンを押して「EDIT」にカーソルを移動してから[ENTER]ボタンを押します。 すると、サンプルエディットのメニューが表示されます。 2.サンプルエディットのサンプル画面に入る [SELECT←/→]ボタンを押して「SAMPLE」にカーソルを移動し、[ENTER]ボタンを 押します。 3.
(2)ウェーブを再生する [AUDITION]ボタンを押すと、選んだウェーブが再生されます。 (3)ウェーブの再生する範囲を設定する ウェーブのスタート位置とエンド位置を設定して再生する範囲を設定します。 1.スタート位置を調節する [SELECT←/→]ボタンを押して「Start=」を表示させ、[AUDITION]ボタンを押して ウェーブを再生しながら、ダイアルや[VALUE-/+]ボタンを使ってスタート位 置を 調節します。 【ヒント】 [AUDITION]ボタンを押してすぐに離すと、ウェーブのスタート位置をはっきりと 確認できます。 【ヒント】 数値を大幅に上げるときは、[VALUE+]ボタンを押し続けた状態で[VALUE-]ボタン を押します。 大幅に下げたい場合は、逆に[VALUE-]ボタンを押し続けた状態で[VALUE+]ボタン を押します。 2.
Click! Click! 再生範囲を調整する前のウェーブ 再生範囲を調節後のウェーブ 同じ操作で、6つのサンプルを再生位置を調節します。 【サンプル002】 Click! 【サンプル003】 Click! 【サンプル004】 Click! 【サンプル005】 Click! 【サンプル006】 Click! (4)ウェーブのループを設定する サンプル1〜4のようなブレイクビーツ系のウェーブの場合は、ウェーブのスタート 位 置とエンド位置を設定したあとで、ループをオンにして自動的に繰り返し演奏 をする状態にします。 ただ、ループをオンにすると、ウェーブの長さを演奏している拍の長さにピッタリ と合わせる必要があります。そこで、ループをオンにした後で、ウェーブ長さを微 調整する操作も行いましょう。 では、サンプル1を選択してから次の操作を行いましょう。 1.
Click! 2.
これで、ウェーブを加工する作業は終わりです。 【ヒント】 ここでは必要最小限の加工しかしていませんが、MU2000にはここまで紹介した以 外にも、ウェーブを逆再生するリバースや、8ビットに落としてザラリとした質感 にするコンバート、ウェーブを2つに分けるスプリットなどのメニューが用意され ています。 続いて、ウェーブからボイスを作る操作に移りましょう。
【4】ウェーブからボイスを作る サンプリングしたウェーブをボイスに組み込んで、MU2000が再生しやすい状態に します。 ここで作られたボイスは、MU2000のプリセットボイスと同じように、プレイモー ドの1〜64パートに自由に割り当てることができます。 (1)ウェーブを組み込むボイスを選ぶ サンプルエディットのボイス画面に入り、ウェーブを組み込むボイスを選びましょ う。 1.サンプルエディットのメニューを表示する [SAMPLING]ボタンを押してサンプリングモードのメニューを表示し、[SELECT←/ →]ボタンを押して「EDIT」にカーソルを移動してから[ENTER]ボタンを押します。 すると、サンプルエディットメニューが表示されます。 2.サンプルエディットのボイス画面に入る [SELECT←/→]ボタンを押して「VOICE」にカーソルを移動し、[ENTER]ボタンを押 します。 3.
バンクナンバーとプログラムナンバーを設定して、作成するボイスを選びます。 バンクナンバーは0〜1、プログラムナンバーは1〜128の範囲で選べます。 [SELECT←/→]ボタンを押して「Bank#=」にカーソルを移動し、[VALUE-/+]ボタン を押してバンクナンバーを選びます。 [PART-/+]ボタンを押してプログラムナンバーを選びます プログラムナンバー001 バンクナンバー001 (2)ウェーブを割り当てる [SELECT←/→]ボタンを押して「Sp=」を表示させ、ダイアルを回すと、メモリーに 記憶されているウェーブ(サンプル)が切り替わるので、そのボイスに割り当てたい ウェーブ(サンプル)を選びます。 ボイスに割り当てるウェーブを選びます。 サンプルナンバー001 サンプルネーム DrmLoop1
【5】各パートにボイスをアサイン ボイスが組めれば、後はプリセットボイスを再生するのと全く同じように、マルチやパ フォーマンスの各パートにボイスを割り当てるだけで演奏が可能。パンやボリュームを設 定したり、フィルターで倍音を削ったり、EQで音を補正したり、エフェクトで音を作り替 えたりなど、さまざまな修正が可能になります。 (1)パートにサンプリングボイスを割り当てる では、任意のパートにサンプリングボイスを割り当てる方法をご紹介しましょう。 1.サンプリングボイスの選択状態に切り替える マルチプレイモードで任意のパートを選び、[SELECT]ボタンを何度か押します。すると、 MU2000本体の[SAMPLING]ボタンが続けて2回光り、サンプリングボイスが選択されま す。 サンプリングボイスを示すアイコンです。 サンプリングボイスを作成したバンクを設定 サンプリングボイスの音色番号を設定。 2.バンクを選ぶ [SELECT←/→]ボタンを押してカーソルをバンクに移動し、ダイアルでサンプリングボイス を作成したバンクを設定します。 3.
まなエフェクトをかけてみましょう。 下記のサウンドVQでは、フェイザーとVディストーション+ディレイをかけています。エ フェクトをかける前とかけた後の音を比較してみましょう。 Click! Click! Click! Click! 【6】シーケンサーでマルチを再生する 最後に、このマルチを再生するシーケンスを組みましょう。 下記は、サンプリングしたウェーブを使った演奏です。 Click!
僕がまだ幼かった頃、駄菓子屋さんで買うキャラメルは、明治ではなく決まってグ リコでした。というのも、グリコにはおまけが付いていたからです。 幼稚園に行ってる我が息子が、ポケモンカードにつられてポケモンパンを欲しがる のを見るにつけ、自分の幼かった頃を思い出します。ボクモソウダッタ、と。オマ ケガホシクテグリコヲカッテイタ、と。 あれから数十年が経ち、本質的な部分はあの頃とさして変化していない自分がいま す。だから、息子が欲しがれば必ずポケモンパンを買ってやるし、機能がいっぱい 付いているMU2000/1000が欲しくなります。 というわけで、今回はMU2000/1000のおまけ機能についての説明です。 といってもMU2000/1000のおまけ機能は単なるおまけに止まらず、メインの機能 を凌駕するほどのパワフルな機能も含まれています。 超魅力的なこのおまけを知ってしまったら、おまけ機能が使いたくて MU2000/1000を購入するというグリコ現象が起きるかも知れません(現にプラグイ ン機能を使いたくてMU1000を購入した人間を知ってます)。 ではでは、じっくりとお楽しみください。 【1】音源モジュールの最終
XGプラグインシステムは、プラグインボードを装着することによって、シンセサ イザーのエンジンとも云える音源システムを拡張します。 従来から拡張システムを持つシンセサイザーや音源モジュールは多数ありました が、それらはいずれもPCMボードやメモリーカードによるウェーブや音色を拡張す るものでした。これらの拡張システムでは、音色のバリエーションは多少増えるも のの、音のキャラクターを決定する音源システムについては全く変更されないた め、音色の劇的な変化は望むべくもありません。 XGプラグインシステムは、シンセサイザー本体が搭載する音源とは異なった種類 の音源システムを拡張することで音色を劇的に変化させることができます。 たとえば、現在発売されている拡張ボードを使うと、FM音源(PLG150-DX)による 繊細で表現力に優れたDXエレピの音色、アナログフィジカルモデリング音源 (PLG150-AN)による存在感のあるアナログシンセの音色、バーチャルアコース ティック音源(PLG150-VL)による生々しい管楽器の音色、フォルマントシンギング 音源(PLG100-SG)による人の声など、多彩 な音色を追加することが可
(4)プラグインボードは取り付けが簡単です。 基盤1枚で構成されているプラグインボードを見るとMU2000/1000への装着手順が 難しく思えるかも知れませんが、いろいろな工夫がされていて意外と簡単に取り付 けできます。 また、プラグインボードは、パソコンのメモリーや拡張カードのようにコネクター が露出していないので、扱い方ははるかに簡単です。 一度取り付けたプラグインボードをはずして他のボードに差し替えるといった操作 も簡単に行えるので、必要に応じて拡張する音源システムを変更したり、1枚のプ ラグインボードを複数のMU2000/1000やシンセサイザーで使い回したり、といっ た使い方も可能です。 ボードの取り付け ネジを外してフタを取ります。 ネジは、コインを使って一度ゆるめれば、後は手でも開けられます。 ボードにコネクターを差し込みます。 このときボードを裏返しにします。
スロットに差し込みます。 左右にガイドに合わせてすっと差し込みます。 これで、おしまい。 ね、簡単でしょう?! (5)プラグインボードはリーズナブルです。 プラグインボードは、通常の音源モジュールには必要なケースや液晶パネル、操作 ボタン、電源などを全く持たない、むき出しの基盤1枚で構成されているわけです から、極限のコストパフォーマンスを実現していると云えます。 たとえば、バーチャルアコースティック音源を搭載する音源モジュールVL70mは 58,000円ですが、全く同じ機能を持ったプラグインボードPLG150-VLでは19,800円 と約1/3の価格。 また、MU2000/1000にPLG150-VLを2枚装着して、2音ポリフォニックのバーチャ ルアコースティック音源に拡張しても、1音ポリのVL70mよりも安くなります。 このように、どの拡張ボードもソフトシンセサイザー並の低価格を実現していま す。 (6)拡張ボードのボイスは簡単に選べます。 拡張ボードのボイスを選ぶには、[SELECT]ボタンを何度か押すだけ。 ディスプレイに拡張ボードのアイコンが表示されたら、後は本体のボイスを選ぶ時 と全く同じ方法
ボイスを選びます。
【2】MU2000/1000にギターやボーカルマイクをつなごう 〜A/Dインプット〜 MU2000/1000のフロントパネルの左上には、A/D INPUTと書かれた端子があります。 これは、マイクやギターなどのアウトプット端子と接続して、外部機器の音を本体内 に取り込むための端子です。 といっても、外部の音を単に取り込んでいるだけではありません。外部の音を単に取 り込むだけならリアパネルのINPUT端子がありますが、ここから入力された音は本体 内の音とミックスされてアウトプット端子から出力されるだけです。 A/Dインプット端子では、入力された音がいったんデジタル信号に変換され、 MU2000/1000本体内のさまざまな処理を受けることができます。たとえば、パートの 設定や7基の超強力なエフェクト、システムEQなど、MU2000/1000本体のボイスから 出力された音声信号とほとんど同じに扱われると云っていいでしょう。 A/Dインプット端子はどんな使い方ができるのか、簡単にまとめてみましょう。 (1)サンプリング MU2000だけの機能ですが、すでにこの講座のパート4でご紹介したように、A/Dイン プット
(2)ギター練習 MU2000/1000のインサーションエフェクトには、ギターアンプの機能をシミュレート するアンプシミュレーターというエフェクトタイプが用意されています。ギターのア ウトをA/Dインプット端子に接続し、インサーションエフェクトでアンプシミュレー ターをかけてやれば、ヘッドフォンを使ってギター練習ができます。また、 MU2000/1000でMIDIデータを再生すれば、マイナスワン演奏をバックにバンド練習 もできちゃいます。 (3)ボーカル録音 A/Dインプットは、インプットゲインを切り替えるとマイク入力も可能なので、マイ クを接続してボーカルを入力することもできます。もし、お使いのパソコンに、デジ タルオーディオ入力端子があれば、MU2000/1000のデジタルアウトを接続して高音質 でレコーディングできます。 もちろん、A/Dインプットの1にマイク、2にギターを接続すれば、MU2000/1000の演 奏をバックにギターとボーカルを同時に録音することも可能です。 (A/Dインプット1と2は、完全に独立してエフェクトをかけることができます。) (4)ギターやボーカルをMIDIでコントロール
3.バンク番号を001(ギター)に設定する ダイアルを回してバンク番号を001に設定します。すると、ギターのアイコンが表示 されます。 4.
【3】パフォーマンスもすごい (1)パフォーマンスとは MU2000/1000をDTM音源としてではなく、キーボードの拡張音源として使う時に 便利なのがパフォーマンスです。 パフォーマンスとは4つのボイスを組み合わせて作る音色のことで、4つのボイスを 重ねて音を厚くしたり、鍵盤の位 置やタッチの強さによって発音するボイスを変 えて音に変化を付けることが可能です。 元になるボイスとしては、本体内のプリセットボイス以外にも、プラグインボード を挿している場合はボード上のボイスや、MU2000の場合にはサンプリングモード で作成したボイスなども使えます。 しかも、1つの音色に対して5系統のエフェクト(リバーブ、コーラス、バリエー ション、インサーション×2)とマルチEQを使うことができるため、通 常のボイス よりもはるかに多彩な音を出すことができます。 (2)パフォーマンスモードに切り替えよう パフォーマンスは、MU2000/1000をパフォーマンスモードに切り替えたときだけ 使うことができます。 パフォーマンスモードでは、MU2000/1000は1つのMIDIチャンネルの演奏データだ けを受信して発音する状態に
3.[SELECT←/→]ボタンを押してカーソルを「PFM」に移動します。 これでMU2000/1000はパフォーマンスモードに切り替わりました。 では、[PLAY]ボタンを押して、パフォーマンスプレイ画面を表示しましょう。 (3)パフォーマンスを選んでみよう MU2000/1000には、すぐに使えるプリセットパフォーマンスが100種類と、自分で 作ったパフォーマンスを保存できるインターナルパフォーマンスが100種類用意さ れています。初期状態では、インターナルパフォーマンスにもプリセットとは別 の100種類のパフォーマンスが入っているので、いつでも合計200種類のパフォー マンスを使えることになります。 1.[SELECT←/→]ボタンを押してカーソルをバンクの位 置に移動し、ダイアルを回 してプリセット(Pre)またはインターナル(Int)を選びます。 2.
(4)パフォーマンスを作り替えよう パフォーマンスを構成するボイスを変更して、パフォーマンスを作り替えてみよ う。 1.[PART-]ボタンと[PART+]ボタンを同時に押して、パートの画面 を出します。 【ヒント】 パートの画面から、もう一度[PART-]ボタンと[PART+]ボタンを同時に押すと、パ フォーマンスを選択する状態(オール)に戻ります。 2.[PART-/+]ボタンを押して、ボイスを変更するパートを選びます。 3.