User Manual

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Y-S3 スピーカシステムデザインガイド
直接音と反射音
250Hz 500Hz
1kHz 2kHz
2: 周波数帯域ごとの音圧分布(全て 1/1 OCT Band、周波数は中心周波数)
実測との比較
複数スピーカ間の位相干渉による音圧分布の谷間は、実際の音場では反射音の影響を
受ける。この反射音の影響がどのように現れるのかを把握するため、以下に実測結果
との比較を示す。
実測の条件
実際の音場では、スピーカ IF2115/64 ×2 台を、所定の金具で開き角 50°にて固
定し、舞台上部のバトンに吊り下げて舞台床面から 7.2mの高さに設置した。受聴
点には無指向性のコンデンサーマイクを設置し、合計 30 点でインパルス応答を測
定した。
中高音域における音圧分布の谷間
500Hz1kHz 2kHz 帯域での音圧分布を図 3 に示す。図右側は実測結果を示し、
図左側は計算結果を示す。共に、1/1OCT Band における結果を示し、実測結果は
直接音到来から 1 秒分の積分値を示している。先ほど示したように、1kHz 2kHz
帯域では、2 台のスピーカによる干渉で音圧が落ち込んでいるエリアが認められる。
これと同様の分布は、実測結果にも表れている。この分布の違いは、壁面への放
射量によって異なるが、ある程度適切な狙いエリアが設定されている条件下では、
このように、中音域において複数スピーカ間の干渉による音圧分布の谷間が実測
においても同様に現れる。このことから、直接音のみによる計算結果を使って、
干渉エリアを少なくするように設計することは、現実の音場においても有効であ
ると考えられる。