User Manual
●必要パワーアンプ出力の簡単計算
下記の表を用いて簡単に必要パワーアンプ出力を算出する方法を紹介します。
① 表1より距 離 減 衰 を 求 めま す。
②下の式3より必要ゲインを求めます。
③表2を用いて、②で算出した必要ゲインを必要電力に変換します。
④表3を用いて、[CF(クレストファクター)+HR(ヘッドルーム)-3]の値を倍率に変換します。
⑤③で求めた必要電力に④で求めた倍率を掛けます。
例1)
・必要ゲイン :14dB
・CF(クレストファクター) :12dB
・HR(ヘッドルーム) :3dB
必要ゲイン14dBを得るための必要電力は表2より25.1W。
CF+HR-3=12+3-3=12dB。
12dBは表3より15.8倍。
パワーアンプ出力=25.1W×15.8=397W
例2)
・必要ゲイン :20dB
・CF(クレストファクター) :10dB
・HR(ヘッドルーム) :3dB
必要ゲイン20dBを得るための必要電力は表2より100W。
CF+HR-3=10+3-3=10dB。
10dBは表3より10倍。
パワーアンプ出力=100W×10=1,000W
※1 パワーアンプの 測 定には 正 弦 波を 使 用しているため 、ピークに 対して実 効 出 力は 3 d B 低くなります。
※2
ここで 仮 定した音 場 は自由音 場で、点音 源 は距 離の2 乗に反 比例して減 衰 するものとしていま す。また、受 音点はスピーカー の軸 上 にあるものと仮 定し、直接 音の みで 計算しています。
●必要パワーアンプ出力の算出方法
必要なパワーアンプ出力を算出するための計算式は以下となります。
必要ゲインに楽音のクレストファクターとヘッドルームを加味することでパワーアンプのピーク出力が求まりますが、パワーアンプ出力は実効値なので
パワーアンプが持つクレストファクター3dBを減じて実効出力を求めます
※1
。
必 要 ゲイン は 式 3より求 めま す。
受音点での必要音圧レベルに距離減衰を足すことで、スピーカーから1m点での必要音圧レベルが求められます。
そこからスピーカーの1W/1mの出力音圧レベル(感度)を引くことで必要ゲインが求められます。
距離減衰を求める計算式を式4に示します(点音源の場合)
※2
。
例として、ヤマハIF2115/64パッシブ1台を用い、20m離れた受音点で85dBSPLの平均音圧レベル、クレストファクター12dB、ヘッドルーム3dBとした場合の
必要パワーアンプ出力を計算してみます。
・IF2115/64の感度 :97dBSPL(1W/1m)
・距離減衰 :20log20=26dBSPL
・必要ゲイン :85+26-97=14dB
・必要パワーアンプ出力:10
必要パワーアンプ出力=10
・・・式 2
必要 ゲイン+クレストファクター+ヘッドルーム-3
10
必要ゲイン(dB)=受音点での必要音圧レベル+距離減衰-スピーカーの出力音圧レベル(1W/1m)
・・・式 3
距離減衰(dB SPL)=20logR (R はスピーカーから受音点までの距離、単位:m)
・・・式 4
表1
スピーカー⇔ 受
音点間距離(m)
距離減衰
(dBSPL)
10 → 20.0
11 → 20.8
12 → 21.6
13 → 22.3
14 → 22.9
15 → 23.5
16 → 24.1
17 → 24.6
18 → 25.1
19 → 25.6
20 → 26.0
21 → 26.4
22 → 26.8
23 → 27. 2
24 → 27.6
25 → 28.0
26 → 28.3
27 → 28.6
28 → 28.9
29 → 29.2
30 → 29.5
表2
必要ゲイン
(dB)
必要電力
(W)
10 → 10.0
11 → 12.6
12 → 15.8
13 → 20.0
14 → 25.1
15 → 31.6
16 → 39.8
17 → 50.1
18 → 63.1
19 → 79.4
20 → 100.0
21 → 125.9
22 → 158.5
23 → 199.5
24 → 251.2
25 → 316.2
26 → 398.1
27 → 501.2
28 → 631.0
29 → 794.3
30 → 1,000.0
表3
CF+HR-3
(dB)
倍率
(倍)
0 → 1.0
1 → 1.3
2 → 1.6
3 → 2.0
4 → 2.5
5 → 3.2
6 → 4.0
7 → 5.0
8 → 6.3
9 → 7.9
10 → 10.0
11 → 12.6
12 → 15.8
13 → 20.0
14 → 25.1
15 → 31.6
16 → 39.8
17 → 50.1
18 → 63.1
19 → 79.4
20 → 100.0
=398W
14+12+3-3
10
必要パワーアンプ出力の簡単な算出方法とは?
ピークでもパワーアンプをクリップさせずに安全にスピーカーを駆動するパワーアンプ出力の算出方法を紹介します。
簡単なアンプ出力選定方法!
受音点での音圧レベルとは無関係に、アンプをクリップさ
せずにスピーカーの最大パフォーマンスを引き出すための
アンプ 出 力 選 定 方 法です。
パワーアンプ出力=スピーカーのPGM入力(×0.8~1.25)
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