User Manual

ヤマハパワーアンプ ホワイトペーパー
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[
17 ] A
(
スペック
2500W @ 2
Ω
)
の出力波形
.
波形途中で強い圧縮が起こっている。
17 A 社パワーアンプの出力は波形の途中で
強い圧縮がかかっており、入力信号とは大きく異
なったものとなっています。負荷が片方のチャン
ネルのみにかかっている状況ではこのような挙動
を示しませんでしたが、両チャンネルに負荷がか
かると同時に出力が崩れました。このアンプの電
両方のチャンネルで一つの電源を共有しており、
片チャンネルへの供給には十分でも両チャンネル
への供給には耐え切れなくなっているものと推測
されます。
[
18 ] B
(
スペック
2900w @ 2
Ω
)
の出力波形
.
途中から出力電圧が落ちてきている。
18 はスペック 2900W2Ω)の B 社パワーア
ンプの出力波形です。出力の初めのほうは良好な
増幅を見せますが、徐々に出力電圧が落ちてきて
います。このモデルでも両チャンネルに負荷がか
かると、この現象が見られるようになりました。
[
19 ] C
(
スペック
3300W@ 2
Ω
)
の出力波形
本比較で最大出力を誇るが、瞬時に過度なプロテクション動作ともに出力
が無くなった。
19 はスペック 3300W2Ω) C 社パワーアン
プの出力波形です。このモデルは比較モデルのな
かでカタログスペック最大の出力パワーを持ち
ますが、信号が入力されると即座に強いプロテク
ション動作が起こり、出力はミュートされました。
19 はミュートがかかった瞬間の単発の出力波
形ですが、実際には無音状態がしばらく続き、ミ
ュートが解除されると再び即座にミュートがかか
り、この動作を繰り返しました。
これらの比較のように、低インピーダンス駆動に
おいて各社パワーアンプは様々な挙動を見せまし
た。これはカタログスペックから期待される動作
と実際の動作が必ずしも一致しないことを示して
います。その要因としてパワーアンプの測定条件
に統一された標準規格がないことが挙げられます。
3.3. 音楽ソースを用いた比較実験
次に、より現実の動作環境に近い比較とするため、
音楽信号とスピーカーを使った実験を行いました。
パワーアンプの片方のチャンネルには定格 8Ωの
フルレンジスピーカーを 4 本パラレル接続しまし
た。複数のスピーカー間の干渉を避けるため、ま
た耳への負担を軽減するために 4 本中 1 本だけを
レファレンスとし、残りの 3 本は倉庫に隔離しま
した。パワーアンプのもう片方のチャンネルには
2Ωのダミーロードの負荷がかかっています。この
実験方法により耳とスピーカーに負担をかけずに
パワーアンプの性能限界付近の音質を比較するこ
とが可能になります。